かっぱえびせんが少なくなった…事実上の“値上げ”となる各事情

気づけば菓子が少なくなっていたり、牛乳の量が減っていたり…。値段は据え置き、容量やサイズを小さくする事実上の値上げ「シュリンクフレーション」が話題となっている。原材料費の高騰や消費量の低迷など、メーカー側はさまざまな理由を挙げるが、背景には何があるのか。(大渡美咲、田中徹)

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ブルボンは来月17日出荷分から、人気商品「ルマンド」や「アルフォート」などの5種類のビスケット商品の内容量を変更すると発表。ルマンドは13本から12本に、アルフォートは11枚から10枚になる。同社は「原材料や燃料費、運送費の値上がりが続き、自助努力だけで対応するのは困難」としている。

カルビーも7月22日、人気菓子「かっぱえびせん」の1袋の内容量を90グラムから85グラムに減らした。「サッポロポテト」も85グラムから80グラム、「さやえんどう」も70グラムから67グラムに少なくしたという。ブルボン同様、輸送費や原材料価格の高騰が要因で、担当者は「自助努力のみでは価格維持することが極めて困難になった」と説明している。

 こうしたシュリンクフレーションとみられる事例は、ほかにも相次いでいる。

 ハウス食品は、レトルトカレーの「カレーマルシェ」を平成29年2月、1パックの内容量を20グラム減らして180グラムにした。商品のリニューアルに際し、電子レンジ対応の特殊なパッケージに変更した際、外箱のサイズは変えずに空気抜きの穴を設ける必要があったため、「どうしても容量を少なくせざるを得なかった」(担当者)。リニューアルで経費もかかっており、値段を据え置いたという。

 明治は、28年に「おいしい牛乳」を1リットルから900ミリリットルに変えた。自社の飲用実態調査で牛乳の消費量が過去10年間で1割落ちたとする結果や1リットルを飲みきるまでの日数が延びているとする状況を勘案し、容量を減らす決断に踏み切った。

 担当者は「牛乳を余ることなくおいしく飲んでいただきたいという思いがある。(価格を見直さなかったのは)キャップ式の容器とすることで利便性を高め、容器の遮光性を高めて風味を落ちにくくするなど付加価値を高めたため」と力を込めた。

 こうした現状について、東京大学大学院の渡辺努教授(マクロ経済学)は、「原材料費の高騰などが要因の商品小型化の波は、以前からある」としつつ、「メーカー側も、小型化には製造工程を変えるなど費用と手間がかかる。値上げするにしても、世の中の賃金が思うように上昇せず、消費者が価格に敏感になっている社会情勢では(価格を)上げたくても上げられないのでは」と推測した。

 10月には消費税が8%から10%に上がり、さらなる「加速」も懸念されるシュリンクフレーション。公式的に発表しないまま小さくなった商品もあり、インターネット上では《ステルス値上げ》《スモールチェンジ》などと批判も上がる。

 消費者が変更前の商品と比較し、容量が減ったことを検証する書き込みや投稿なども相次いでいる。不二家の人気菓子「カントリーマアム」も、インターネット上で「小さくなった」と指摘され、以前の商品と現在の商品を並べた画像が話題を呼んだ。

 ただ、不二家によると、カントリーマアムに関しては単純に容量を減らしているわけではないという。担当者によると、原料高騰により枚数が変わるほか、季節や地域ごとにさまざまな味を投入するなど戦略的に販売。「容量や枚数は、その都度変えている」と説明している。

 ■シュリンクフレーション 商品の値段が変わらないまま容量が小さくなる実質上の値上げのこと。英語で縮むという「シュリンク」と、物価が上昇する「インフレーション」を合わせた造語。容量の変更に気がつかない消費者も多く「隠れ値上げ」とも呼ばれている。

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