ウナギのかば焼きの輸入量が5年ぶりの水準に急増している。養殖に必要な稚魚「シラスウナギ」の漁獲量が昨年回復し、中国でかば焼きの生産が増えているこ とが背景にある。輸入価格も下がり、土用の丑(うし)の日を楽しみにしている人には朗報。ただ、稚魚の乱獲の影響もあり、長期的な輸入減少トレンドに歯止 めがかかったとは言えない状況だ。
財務省・東京税関によると、2015年1~5月に輸入された、かば焼きを中心とするウナギ調整品は日本全体で7418トンに上った。これは前年同期の1.5倍に当たり、10年の同時期(1万1893トン)以来の高水準となった。輸入品の9割は中国製となっている。
日本鰻輸入組合(東京)は、かば焼きの輸入が今年増えた理由について「不漁が続いてきたシラスウナギが14年に豊漁となり、養殖するウナギが増えたため」と指摘している。
一方、輸入価格は1~5月平均で1キロ当たり2613円となり、前年同期の2800円より安くなった。しかし、ピークの12年(3219円)からは約600円しか下がっておらず、円安の影響などから高止まりしている。