CDを凌駕する音質で音楽を楽しめるハイレゾの世界。昨秋にソニーが『ウォークマン』を投入したことや、スマホでも手軽に楽しめる環境が整い、流行の兆し。初心者のために「いろはのい」を解説しよう。
◎より良い音で音楽が聴けるハイレゾがトレンドに
今、モバイル環境でもより良い音で音楽を楽しめる“ハイレゾ”が世間で注目されてきている。ここでいうハイレゾとは、ハイレゾリューション(直訳すると、高解像度)の略。従来のCDよりも情報量が多く豊かな表現力を持っている、つまり良い音で音楽が楽しめる音源のことを指したり、その音源を再生できるプレーヤーを示すなど、多義的に使われている単語。本企画でお伝えするとおり、今後ハイレゾが一般化する過程で、良い音を楽しむこと全般を指すようなキーワードになっていくようにも推測される。
その最大のきっかけになったのは、昨秋から順次発売されたソニーの『ウォークマン』が、ハイレゾ対応したことが挙げられる。中でも2013年12月発売の最上位機種『NW-ZX1』は、実売価格が7万円強にもかかわらず「我々の予想を超えた注文があり、ご迷惑をおかけしています」(同商品企画担当の小野木康裕さん)というほど。発売直後は品薄状態が続いた。
このヒットの要因には、12年秋、後述する音楽プレーヤーの『AK100』が発売されたこと、今年に入って大手レーベルなどがハイレゾに注力し始めて制作や供給側の環境も整ってきたこと、そして実際にタイトルも揃い始めたことなども背景にある。さらにはスマートフォンでもハイレゾが楽しめる環境が整いつつあることも、この新潮流がトレンドになる鍵といえる。その最前線をお伝えしていくことにしよう。
【TOPIC 1】ソニー『ウォークマン』がハイレゾ対応。今後もハイレゾ化を推進
ソニーは据え置き型では機種を揃えてきたが、『ウォークマン』がハイレゾ対応したことで、一気に幅広い層へ広がることが予想される。今年は、スマホの『Xperia』のハイレゾ化に期待できそうだ。
【TOPIC 2】大手レーベル、大手スタジオなどハイレゾ対応を開始
新型「ウォークマン」の発表会では大手レーベルの幹部が揃ってハイレゾ推進をアピール。またビクタースタジオなど制作の現場でもハイレゾ化を進める動きが出てきて、供給側の環境も整いつつある。ビクタースタジオでは、2012年9月から、音質にこだわったレーベル(ハイレゾ音源含む)「VICTOR STUDIO HD-Sound.」を開始。今年は幅広いジャンルのハイレゾ音源が登場することが期待できそうだ。
【TOPIC 3】クラシックやジャズのほか、懐かしのヒット曲やアニソンまで聴ける
J-POPやアニソン(アニメソング)など、ハイレゾ対応の音源も揃いつつある。中でも本誌読者層をターゲットにした懐かしのアイドルや80年代ポップスなどのタイトルも充実し始め、身近になりつつある。