日本のこんにゃく製品が海外で注目されている。これまでは知名度がなかったが、健康志向の高まりで輸出が好調だ。英語で「konjac(コンジャック)」と呼ばれており、関係者は食感や形に工夫を重ねた製品で「こんにゃくドリーム」をめざす。 【画像】米国の高級スーパーに並ぶ日本のこんにゃく製品。早くも中国からの輸出が増えて競争が激化しているという ずらりとこんにゃく製品が並ぶ。伝統的な板こんにゃく、しらたきに加えて、ラーメン用とやきそば用のこんにゃく麺、ジャーキー風、餅風、実際に揚げたトンカツ風……。 10月中旬、欧米、アジア、中東の海外14の国と地域のバイヤー25人とオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」をつかって、バーチャル産地視察が開かれた。 「訪問先」はこんにゃくの原料であるコンニャクイモの一大産地、群馬県昭和村だ。群馬県は全国生産量の9割を占め、強いブランド力を誇る。 製造業者の北毛久呂保(ほくもうくろほ)の兵藤武志社長(59)が工場の中に入り、製造方法や商品を説明していく。視察を企画したジェトロ(日本貿易振興機構)が、英語で同時通訳する。 「日本独特の食べ物でカロリーが低い。食感も形も自由に変えられて、どんな料理にも合う」と兵藤社長が熱弁すれば、「社長は、こんにゃくのマジシャンです!」と工場スタッフもユーモアを交えて盛り上げる。 海外のバイヤーの関心は高かった。 「製品も面白いし、生産現場を自分の目で見ることができるのは本当に刺激的。個別の商談を希望します」(イタリア) 「日本の食品や原材料、製法・製品についての知識が深まった。カタログを見てみたい」(ポーランド) 「製品の説明が気に入りました」(米国) 「値段を教えて下さい」(フィリピン) 調査会社の富士経済によると、国内のこんにゃく製品市場は525億円程度で減少傾向にある。農林水産省によると、市販用は量販店で特売品の対象とされやすい。業務用は新型コロナウイルス感染で外食需要が減り、振るわない。 一方、群馬県によると、こんにゃく製品は輸出拡大が進む。昨年の輸出額は約3億円で2年前の1.3倍となり、データをさかのぼれる9年前のこんにゃく製品を含む農産加工品全体額と比べても4倍に増えたという。 低カロリーで食物繊維が豊富な健康食品として認知度が向上したことが要因という。県は日持ちする利点をいかし、中東を新たなターゲットにして試食会を開くなど輸出拡大を図っている。