ご飯の“脇役”主役の座狙う 熊本発祥・ふりかけ、東南アジアや南米に進出

熊本発祥のふりかけが、市場拡大に向け、国内外で盛り上がりを見せる。ふりかけ日本一を決めるグランプリには2万人が集まり、海外に目を転じれば東南アジアだけでなく、南米ブラジルでも普及する。ご飯の“脇役”が、熊本の知名度向上や国際交流の主役に育ってきた。

今月14、15の両日、熊本市中央区の花畑広場で「全国ふりかけグランプリ」が開催された。

グランプリには10都県のふりかけメーカー23社が参加した。2日間で延べ約2万人が訪れ、ご飯を買って、さまざまなふりかけを味わった。

人気投票の結果、ドライ部門は通宝海苔(のり)(熊本市)の「納豆ふりかけ」、ソフト部門は澤田食品(神戸市)の「いか昆布(こんぶ)」が最優秀賞の金賞 に輝いた。いか昆布は、部門に分かれていなかった昨年に続く連覇だった。澤田食品の澤田大地専務(31)は「本物の味と認めてもらった。胸を張って神戸に 帰ることができる」と感慨深げだった。

ふりかけは100年の歴史を持つ。大正初期、熊本の薬剤師が県民のカルシウム不足を補おうと、小魚を骨ごと粉末にして味を付け、ご飯にかけて食べる方法を考案した。これを熊本市の食品会社、フタバが「御飯(ごはん)の友」の名称で販売を始め、全国へ広まったという。

しかし、熊本が「ふりかけ発祥の地」という認知度は今ひとつだ。そこで地元企業などが集まり、ふりかけを通じた地域振興や国際交流を目指して、平成25年に任意団体として「国際ふりかけ協議会」を設立した。

ふりかけグランプリの開催や東南アジアへのふりかけ支援活動を展開し、今年2月、一般社団法人に改組した。

ふりかけの海外進出も軌道に乗ってきた。同協議会は26年8月、熊本県遊技業協同組合の協力を得て、米食のラオスやタイの小中学校を対象に、ふりかけの小袋を送る支援プロジェクトを始めた。ふりかけを広め、販路拡大とともに、熊本の知名度向上にもつなげる狙いがある。

両国は学校給食の制度がなく、子供らは、もち米を中心とした弁当を持参する。同協議会スタッフの本多由絵氏は「現地の弁当はおかずも少ない。ふりかけでカルシウムなど不足しがちな栄養素を補ってほしい。もち米にもふりかけはピッタリのようです」と語る。

プロジェクトは拡大する。今年に入って、地震や洪水被害に見舞われたネパールやミャンマー、インドネシアでも、ふりかけの小袋を配るようになった。

5月、ふりかけは太平洋を越えた。日系人が多く暮らすブラジルで、「ふりかけグランプリ」を開いたのだ。

国際ふりかけ協議会は、業界全体のムードを盛り上げようと、5月6日を「ふりかけの日」とすることを、一般社団法人「日本記念日協会」(長野県佐久市)に 申請、今年8月に登録された。5月6日は、「御飯の友」を考案した吉丸末吉氏の誕生日である。 今後、記念日に合わせ、販促イベントを開催し、熊本がふり かけ「発祥の地」であることを積極的にPRする。

同協議会代表理事の松江慎太郎氏は「ふりかけグランプリの参加企業は、年間売り上げが倍増したり、全国のバイヤーから注目を集める。業界全体の底上げが進んできたと思う。今後は大手メーカーとの連携が課題で、ぜひ実現させたい」と意気込む。

熊本県は品種改良を進め、高品質な米の栽培も進む。ふりかけと米のタッグで振興を目指す。

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