スマートフォンの大型化は、「iPhone」に対してAndroid端末を差別化する方法の1つとなってきた。そしてスマートフォンの画面が大きくなり続けている背景には、そういった大画面を好む消費者の存在がある。
サムスンが先ごろ発表した「Galaxy Mega」という新しいスマートフォンは、その名前の通りの大型画面(5.8インチまたは6.3インチ)を搭載し、いわゆる「ファブレット」(スマートフォンとタブレットの間に位置づけられる大型携帯電話)のカテゴリーを開拓した「Galaxy Note」の現行機種よりもさらに大きい。
スマートフォンの大型化は、3.5インチの液晶画面を搭載するアップルの「iPhone」(「iPhone 5」は4インチ)や、その類似端末に対し、Android端末を差別化する方法のひとつとなってきた。端末自体の大型化には、大容量バッテリーを搭載するために必要だったという面もあるし、大型液晶画面やLTE接続機能を搭載するには大容量バッテリーが不可欠だが、省電力化技術が発達して必要性が薄れている現在も、大型化の流れはさらに加速しているようだ。
スマートフォンの画面が大きくなり続けている背景には、そうした大画面を好む消費者の存在がある。スマートフォンのブームが始まった3~5年前と比べると、ユーザーの使い方は大きく変化している。当時よりもはるかにたくさんのコンテンツをスマートフォンで楽しむようになっており、そのためにより大きく、性能のよいディスプレイが求められるようになっている。
米国ではすでに約4,100万人がスマートフォンで動画を観ているという調査結果も発表されている。また、そのうちの63%は外出先ではなく自宅での利用だという。いまや就寝前にはテレビよりも、スマートフォンやタブレットの画面を見ている人の方が多くなっているというモトローラ・モビリティの調査結果もある。家庭内で利用する分には、モバイル端末のサイズが多少大きすぎても、あまり問題にはならない。
携帯通信事業者やコンテンツ提供者は、こうしたトレンドを大歓迎している。ユーザーがますます多くの動画やゲームなどを消費し、データ通信料が増えるほど、彼らの収入が増えるからだ。またテレビやPCなどを持たず、自宅でもスマートフォンしか使わないというユーザーも増えており、こうしたユーザーの増加がスマートフォンの大画面化に拍車をかけている。とくに新興市場などではそういった傾向が顕著とされている。
しかし、こうした大型化の傾向がいつまでも続くというわけではない。たとえば調査会社IHSのデータからは、スマートフォンに搭載される液晶画面のサイズが2008年から現在まで着実に大きくなってきていることが読み取れる。
Graph courtesy IHS
ただしIHSのアナリストであるケヴィン・ケラーは、最新製品に搭載されている液晶画面の解像度は人間の目で見分けられる限界を超え始めているとし、これが液晶画面の大型化に歯止めをかける重要な要因になると述べている。また調査会社Flurryの最新調査では、スマートフォンユーザーの69%が3.5~4.9インチの液晶画面サイズを望んでいることが明らかになっており、大型スマートフォンのトレンドが頭打ちになりつつあることがこの調査結果でも裏付けられている。