ついにやってくる「最悪すぎる不動産バブル大崩壊」の現実味…「緩和、緩和」がもたらしたヤバすぎる副作用の正体

ついに来た!「緩和バブルの副作用」

 米国の中小銀行の経営破綻に端を発した金融不安は長期化する恐れが強まっている。  市場関係者が問題視しているのは、米国の資金供給量(マネーサプライ)が前年比マイナスとなっていることだ。米連邦準備理事会(FRB)によれば、マネーの総量を示す「マネーストック」の1つであるM2(現金、銀行預金など)が、1960年代以降で初めて昨年12月から前年比マイナスに転じている。 【画像】5年後、10年後に「生き残る会社/消えている会社」を実名公開!  M2減少の主因は銀行預金の流出だ。FRBによれば、米国の商業銀行の預金の減少が約3ヵ月続いており、3月のシリコンバレー銀行(SVB)破綻の遠因にもなった。歴史的なインフレに対処するためのFRB利上げがもたらす副作用が顕在化した形だが、センチメントの悪化は銀行の融資にも影響を及ぼし始めている。  米国の商業銀行の融資残高が減っており、足元の減少幅は2021年6月以来の大きさだ。銀行が融資審査を厳格化しているのが主な理由だ。  ダラス地区連銀が4月5日に公表した管轄地区の金融機関の融資態度調査(SVB破綻直後の3月下旬に実施)によれば、貸し出し態度を「厳しくした」との回答割合から「緩めた」を引いた値は35.9となり、2020年の新型コロナのパンデミック発生直後の水準にまで悪化した。  この傾向は、SVB破綻を機に流動性の懸念が高まった中小銀行で顕著だ。

最悪の影響を受ける「不動産バブル」

 「今後、中小銀行の分野で大規模な信用収縮が起きる」との警戒感が高まっており、その悪影響を最も被るのは商業用不動産市場だと言われている。商業用不動産は戸建て住宅など住宅用不動産よりも貸付比率が高く、米国の商業用不動産の約4割は銀行が資金の出し手だからだ。  米抵当銀行協会が3月15日に公表した報告書によれば、商業用不動産ローンの融資残高(4兆4000億ドル)の8割近くを中小銀行が占めている。規制が緩く、運用先が乏しい中小銀行がリスクの高い分野に積極的に資金を提供してきた結果だ。  商業用不動産ローンの融資残高の16.5%に相当する7280億ドルが今年償還期限を迎え、来年も6590億ドルの規模が予定されている。今年から来年にかけて、商業用不動産ローンの借り換えがピークを迎えるのだが、悩みの種は市況の悪化だ。  賃貸マンションやオフィスビルなどの商業用不動産の米国の市場規模は5兆6000億ドルに達する(3月23日付フィナンシャル・タイムズ)が、新型コロナのパンデミックで普及した在宅勤務のせいで常勤勤務者が減少したため、企業はオフィスの規模を縮小し、賃貸料が高い都心から離れる動きを本格化させている。  米格付け会社ムーデイーズによれば、米国内主要25都市のオフィスの空室率は一気に上昇した。サンフランシスコの場合、オフィスの空室率は2019年第4四半期の約5%から昨年第4四半期には19%にまで跳ね上がっている。  モルガン・スタンレーは「市場はオフィス対象の上場不動産投資信託(REIT)の組み入れ資産が3~4割下がることを織り込んでいる」と試算している。  商業用不動産ローンの分野では今年2月から債務不履行(デフォルト)が発生しており、金融不安との負の連鎖に警戒感が強まっている。  しかし、異変は商業用不動産だけではない。個人の住宅ローンに直結する住宅用不動産でも深刻な事態が起きているのだ。  さらに後編記事『超世界規模「不動産バブルの崩壊」で「深刻な資産デフレ」発生の危険すぎる可能性』で、住宅ローンに潜む危機の正体を詳しくお伝えしよう。

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