ついやりがち…椅子の上で「あぐら」、体にどんなリスク? 改善するには? 専門家に聞いてみた

椅子に座っているときにあぐらをかきたくなることがあります。実際にSNS上では、「椅子の上であぐらをかいちゃう」「ゲーミングチェアであぐらをかいてゲームをしている」「椅子の上であぐらをかく癖が直らない」などの声が上がっています。 【閲覧注意】あなたの体にもできている? 「赤いほくろのようなもの」の正体とは  なぜ椅子の上であぐらをかきたくなるのでしょうか。椅子の上であぐらをかいた状態で過ごした場合、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。姿勢調整師の金野正博(こんの・まさひろ)さんに聞きました。

足先が冷えている可能性

Q.そもそも、椅子の上であぐらをかきたくなるのはなぜなのでしょうか。考えられる原因について、教えてください。 金野さん「椅子の上であぐらをかきたくなるのは、次のような原因が考えられます」 ■緊張の解消 ストレスや疲労が蓄積すると、あぐらをかくことがストレスの緩和につながることがあります。あぐらの姿勢は、体の緊張を一時的に和らげる効果をもたらすことがあるからです。座っている椅子の高さやデザインが自分に合っていない場合も、その座り方が不快であると感じ、あぐらをかくことがあります。 ■姿勢のゆがみ ゆがんだ姿勢は体に不快感をもたらし、その不快感を和らげるために、あぐらをかくことがあります。また、姿勢が崩れると、バランスを取りにくくなることがあります。あぐらは、不安定な姿勢を安定させるのに役立つことがあります。 あぐらをかくときに「右足が上」「左足が上」など得意な方の足があると思いますが、そういったものは、姿勢のゆがみや背骨のゆがみによって起きているアンバランスの差で生じています。 ■足のむくみや冷えの解消 長時間椅子に座っていると血流が滞り、足がむくんできたり、冷えが起こりやすくなったりします。足のむくみや冷えを回避するため、下ろしている足を持ち上げる目的で、椅子の上であぐらをかくことがあります。特に足先は末端のため血液が行き届かず、冷えを覚えやすい場所です。 ■習慣や文化的背景 あぐらをかくことは、特定の文化や地域で一般的な座り方であることがあります。個人の文化的背景や習慣が、椅子の上であぐらをかく傾向に影響を与えることがあります。特に、アジア圏の一部の文化では、日常生活であぐらをかくのが一般的です。 個人の好みや習慣に合わせて、座り方を選ぶのは自然なことであり、快適な姿勢を見つけることが重要です。 Q.では、椅子の上であぐらをかくと、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。 金野さん「椅子の上で長時間あぐらをかき続けた場合、体にいくつかの悪影響が及ぶ可能性があります。代表的なものとして、次の3つのケースが挙げられます」 ■姿勢の悪化 あぐらをかくことで猫背になりやすくなり、正しい姿勢を保つのが難しくなります。長時間この姿勢を続けると、背骨や骨盤に負担がかかり、姿勢が悪化する可能性があります。また、長期間続けた場合、脊柱の生理的湾曲(S字カーブ)の問題や腰痛が生じる原因となります。 ■血行不良 あぐらをかくと、脚部の血液の流れが制限されることがあります。これにより、足のむくみや血行不良が生じ、足のしびれや冷えを引き起こすことがあります。また、長時間、血行不良が続くと、血栓のリスクが高まることもあるため、注意が必要です。 ■筋肉の不快感 あぐらをかくと、一部の筋肉が長時間にわたって緊張し続けることになります。その結果、筋肉の疲労や不快感が生じ、特に腰や背中、肩の筋肉に負担がかかりやすくなります。 これらの悪影響は、あぐらをかくことが習慣となっていて、あぐらを長時間続ける場合により顕著に現れることがあります。 Q.椅子の上であぐらをかきたくなったときの対処法について、教えてください。 金野さん「椅子の上であぐらをかきたくなった場合の代表的な対処法は、次の通りです」 ■姿勢を変える 椅子の上であぐらをかく代わりに、座り方を変えましょう。椅子の背もたれにお尻がつくほど深く座り、上半身を起こして座ったり、足を床につけて座ったりすることで、姿勢を改善することができ、体への負担軽減につながります。 ■定期的な休憩 長時間、同じ姿勢を続けないように、定期的に休憩を取りましょう。疲れを感じる前に椅子から立ち上がり、歩いたり、軽いストレッチを行ったりすると、体の血行が良くなり、姿勢が改善します。 ■適切な椅子を使用 自分の体に合った適切な椅子を使用してください。背もたれや座面が調整可能な椅子を選ぶと、快適な座り方を見つけやすくなります。また、椅子にクッションや背もたれのサポートを追加することも検討してみてください。椅子の前に台を置き、台の上に足を乗せるのも効果があります。 これらの対処法を試し、あぐらをかく習慣を改善し、体への負担を軽減することが大切です。姿勢を意識し、快適な座り方を見つけることで、体の健康を保つことができます。

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