でんきを見に行く 三菱電機のスマートハウス

屋上に太陽光パネル、ガレージには電気自動車の充電設備がある。まるで家がそのまま電池にでもなったような風変わりな一戸建てが、神奈川県鎌倉市大船にたたずむ。
 情報通信(IT)や電波技術などの基礎研究を行う三菱電機の東部地区研究所の一角にあるこの家は、太陽光発電設備や省エネ家電をフル装備し、「家まるごと省エネ」を体現した「大船スマートハウス」だ。スマートグリッド(次世代送電網)に対応した生活のあり方を模索するため、同社が5月に完成させ、本格的な実証実験を始めた。
 スマートは「賢い」の意味で使われる。ハウスの内外ではさまざまな制御システムが稼働し、天候や室温の変化を感知。暑ければ窓を自動開閉して風を取り込み、寒ければ日射熱を床暖房に回す。太陽や風を最大限に活用し、使用電力を節約する仕組みだ。
 また、各種家電製品の使用時間や使用量を計測することで、住人の生活パターンを把握することも可能だ。これを応用すれば、地域内で、夜型の生活をする家庭と朝型の家庭をうまく組み合わせ、電力使用のピークをずらす、といった効率的な配電が実現できる。
 ハウスの照明には消費電力の低いLED(発光ダイオード)を採用した。ガレージには蓄電池を置き、電気自動車(EV)を充電できるようにした。
 三菱電機は大船スマートハウスのほか、兵庫県尼崎市の研究拠点などで効率的な送配電網の構築に向けた実証実験を実施中。「限られたエネルギーを一番『賢く』使う仕組み」(同社)を探求している。(渡部一実、写真も)

タイトルとURLをコピーしました