どうしてそんなことを…? 栃木・那須塩原で「おじさんが釜茹でになる儀式」が行われていた

「おじさんが釜茹でになる儀式」を執り行う祭りがあるらしい──。

Jタウンネット記者は2023年6月、ツイッター上をそんな噂が流れていくのを目にした。

おじさんが、釜茹でに……? 拷問以外の何物でもないように見える字面だが、一体どんな儀式だというのだろうか。

こちらが、その釜茹での様子。メラメラと燃え盛る炎の上に黒い釜が設置されており、その中に上半身裸のおじさんがどっかりと座り込んでいる。

一歩間違えれば全身火だるまになりそうな状況だが、おじさんは両手を合わせて目をつぶり、何事かを祈っているような体勢だ。そして後ろの人々は温かな目でそれを見ている。にこやかですらある。

この儀式は何なのか。深まった疑問の答えを求めて、Jタウンネット記者は「おじさんの釜茹で」を行っているという那須波切不動尊金乗院(栃木県那須塩原市)に話を聞いた。

青森の修験者から「輸入」した荒行

取材に応じた同寺住職の長濱大法さんによると、この釜茹での儀式は「湯加持行(ゆかじぎょう)」と呼ばれるもの。同寺院で毎年6月28日に行われる波切不動尊の大祭「火まつり」の行事の一環である。

火まつり当日は朝から釜でお湯を沸かす。それを湯もみして落ち着かせ、中に熊笹を敷き詰めた上に修験者が座り込むのだという。

「湯加持行は、もともと青森県の津軽辺りの修験者たちが行っている荒行の一種です。私の修行仲間にも青森の修験者の方がいるのですが、その方がうちの寺院に来た時に『こんな荒行があるんだよ』と教えてくれて、『ならぜひ金乗院でも披露してほしい』とお願いしたのが始まりでした」(長濱さん)

1988年から、長濱さんの知人である青森の修験者に毎年の火まつりで湯加持行を執り行ってもらうようになった。そして20年ほど前からはその役目を長濱さんが引継ぎ、今に至っているそうだ。

「修験者は釜の中でお不動様(不動明王)と一体化し、参拝客の皆さんの無病息災や厄除けを祈願するのです」(長濱さん)

湯加持行を拝める「火まつり」は、2023年も6月28日に行われる。

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