おひとりさまをターゲットにしたサービスが、飲食店だけではなく様々な市場で広がっている。レジャー施設や専用の雑誌までお得に楽しめる“おひとりさまサービス”が続々と広がっている背景を取材した。
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■絶叫マシンに“おひとりさま優先口”
山梨県にあるレジャー施設、富士急ハイランド。今月9日から、1人で来たお客さんを対象にした「シングルスマートフリーパス」を3月14日までの期間限定で発売している。利用できるのは最高速度が130キロに達する「FUJIYAMA」と、えぐるような落下と回転が売りの「高飛車」という2つの絶叫コースターだ。
1人用のパスを持っていれば優先口から入ることができ、1人分の席が空いたら乗車できる。
取材した日、FUJIYAMAは1時間待ちの行列。どれぐらい早く乗れるのか優先口から入ってみると、行列をぐんぐん追い抜き、わずか4分ほどで搭乗口に案内された。
富士急ハイランド営業企画部・荒井康彦さん「友人の方となかなか都合が合わなかったり、絶叫が苦手なお連れ様がいらっしゃる方にも、おひとりで快適に富士急ハイランドの絶叫マシンを楽しんでいただけるのではないかなと」
お客さんの反応は――
Q:おひとりさま専用チケットどう思う?
3人で遊びに来た人「けっこう混むので、1人でぐるぐる回れるんだったらそっちの方がありがたいです」「さびしいです。1人は」「私はあり!絶叫好きだから」
おひとりさま用のパスを購入したお客さんの中には、1日で20回も絶叫コースターに乗る人がいたという。
■肉は1枚から注文“ひとり焼き肉”
池袋の焼き肉店、その名も「ひとり焼肉・美そ乃」。客席には1人用のロースターが置かれ、お肉は1枚から注文できる。
2年ほど前にオープンしたこの店は、激戦となっている焼き肉業界で差別化を図ろうと1人焼き肉を売りにしたという。
店に来ていた会社員30代男性は、「ひとりで好き放題食べられるのでいいかなと」と話す。
■おひとりさま専用雑誌も登場
実は、こちらの店は去年12月に発行された『おひとりさま専用Walker』という雑誌に掲載されている。
出版したのは、カップルや家族向けの情報を発信する東京ウォーカーの編集部。
おひとりさま専用Walkerを企画した中村茉依さん「リア充ばっかりの本を作るのに疲れて、もっと私みたいなおひとりさまが楽しめる本を世の中に作りたいと思いました」
誌面には、ひとりの客がどれぐらい来ているのかなどの情報も掲載。取材をする中で、おひとりさま市場のさらなる可能性を感じたという。
中村さん「すき間時間1~2時間できるだけで『何しよう?』『心おどる』みたいな声を聞いたので、やっぱりそういった需要もおひとりさまにはあるんじゃないのかなと」
■“1人用キャンピングカー”には意外な層からの需要も
おひとりさま市場は自動車にも。軽自動車をベースにした1人用のキャンピングカー。車内には大人がゆったりと寝られるベッド、冷蔵庫、電子レンジの他、19インチのテレビなどもついて価格は、約200万円。
定年退職した男性をメインターゲットに、2年ほど前に開発したところ、思わぬ需要もあったという。
リンエイプロダクト・田辺二郎社長「女の人が犬と2人旅で使っている方がそこそこまぁまぁいます。女の人だから小さくて取り回しもいいし(運転しやすい)」
軽自動車なので通常のキャンピングカーよりも維持費が安く、駐車スペースをあまり取らないこともあり、女性客の反応も上々だという。