あなたは最近、ゲームセンターに足を運んでいるだろうか? 恐らく、このコラムを読んでいる人のほとんどは、行っていないだろう。ゲーセンと言えば、中高生の溜まり場的なイメージだと思うが、最近は大きく様変わりしている。
土日は、小学生以下を連れた家族が多いのだが、そこに混じって高齢者の姿をよく見かける。平日は、高齢者の方が多い。ゲーセンと高齢者は、イメージのギャップが大きいのだが、徐々に増えてきている。
だが、なぜいま高齢者なのか。
第一に考えられるのは、「ゲーセンは楽しい」ということに、高齢者が気づいたのである。
若い頃には存在さえ無かったので、まったく知らない世界である。1回100円を投入すれば、感じたことのない興奮を憶える。多少金に余裕のある世代なので、あまり金のことを気にせず、退屈な毎日に、ひとときの楽しみを得ることができる。
第二には、ゲーセンに行くことに大義があるということ。
「ボケ防止」。手先を使い、脳を刺激する。医学的にもその効果は証明されているので、堂々と入っていくことができる。ただの無駄遣いではなく、健康のためだと言い訳できる。
第三には、孫へのプレゼントが獲得できるということ。
最近のゲーセンは、クレーンゲームのような、賞品を狙うものが多い。しかも、おもちゃではなく、キャラクターのついたタオルやクッション、マグカップなど、生活用品的な賞品が揃っている。
おもちゃでは、孫の親である自分の子どもにイヤな顔をされるが、使えるものなら喜んでくれる。孫の笑顔のためなら、おじいちゃん、おばあちゃんは、頑張ってしまうものである。
このように、高齢者がゲーセンに通うことは、悪いことではない。健康のためや日本経済のためにもなる。
ただ、時々見かけるのが、異常なまでにのめり込んでいる人である。賞品を取ることに執着し過ぎて、次から次へと100円玉を投入している。鬼のような形相で、まったく楽しそうではない。
こうなっては、心身ともに悪影響を及ぼす。自身の性格を考えてから、足を運んで欲しいと願う。ゲーセンに行かなくとも、テレビゲームをすれば、「ボケ防止」になるのではないかとは思う。
「ゲーム=良くないもの」ではない。使い方次第では、薬にもなる。ゲーセンに足を運ぶことも運動になるので、どんどん行けば良いのではないか。
“ほどほど”を楽しめば、高齢者にとって、素晴らしいレジャーになるだろう。
(佐藤きよあき)