なぜホカ弁屋で「のり弁当」だけがこんなにも売れ続けるのか

お弁当屋さんの定番といえば、「のり弁当」。他のお弁当に比べて見た目はチープではありますが、長い人気を誇る商品となっていますよね。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で人気コンサルタントの佐藤きよあきさんが、安さだけにとどまらない「のり弁当」の人気の秘密について考察しています。

“ほか弁屋”の「のり弁当」は、なぜ売れ続けているのか?

庶民なら一度は食べたことがあるであろう、ほか弁屋さんの「のり弁当」。

ご飯の上に、昆布の佃煮もしくは醤油和えのかつお節をのせ、焼き海苔をかぶせた本体。その上に、白身魚のフライと竹輪の天ぷら、きんぴらがのり、さくら漬けか大根の甘酢漬けが添えられています。

見ためにはチープですが、間違いのない安定した美味しさがあり、長年に渡る人気商品です。「ほっかほっか亭」「ほっともっと」「かまどや」などのチェーン店では、300~340円程度で販売されています。

「のり弁当」が一番よく売れるというお店も多いのです。不況の中では、この安さも人気の要因ではありますが、それだけではありません。

「すごく美味しい」「めっちゃ旨い」という存在ではありませんが、心にほのかな明かりが灯るような、温かな味がします。

特別なものは何も入っていません。

安い素材ですが、もっとも美味しい調理法を選んでいます。淡白な白身魚は、フライにすることで脂の旨味を足しています。竹輪はそのままでは“おかず”になりにくいものですが、天ぷらにすることで、練り物のコクを引き出しています。ごぼうと人参のきんぴらは、和総菜の定番です。

このお弁当のもっとも美味しいところは、昆布もしくはかつお節と海苔とご飯の組み合わせです。白ご飯に合うものの王道として、昔から親しまれてきた味なのです。安っぽいと感じる人もいるでしょうが、庶民ならどこか懐かしく、ガツガツと食べてしまうほど、美味しいはずです。

ほか弁屋の人は言います。

「お金のない人にも、しっかりと食べてもらいたいから、安い価格で提供している」

これがほか弁屋さんの原点であるがゆえに、いまだ安く提供しているのです。

この信条は、どこか母親に通ずるものがあります。お金もなく、決して料理上手とも言えない母親が、子どもの成長を願い、不器用ながらも一所懸命に作ってくれたお弁当に似ています。

アルマイトの弁当箱に、ギュウギュウに詰められたご飯。白ご飯では寂しいから、昆布や海苔をのせる。少ないおかずを豪華に見せるために、ご飯の上に並べる。腹を空かせた子どもには、なによりのごちそうです。

「のり弁当」には、そんな郷愁があります。母親の愛情のようなものを感じるから、美味しいのです。

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