なぜ日本人は「お金の使い方」が下手なのか?富裕層に学ぶ「必ずやるべきこと」 貯蓄額で“幸福度”は上がらない

あなたは、お金を上手く使えていますか?

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの立川健悟と申します。

『お金の専門家』として、身近な仲間や、ご紹介・セミナーなどでお逢いした人からのご相談を受けて、将来の夢や目標を達成できるように、資産形成などのアドバイスを行っています。

現在、お金に関する情報は、テレビや書籍だけでなく、オンライン記事やYouTubeなど、わかりやすいアドバイスもたくさんありますが、それにもかかわらず普段の仕事を通じて、日本人のお金の使い方は、まだまだ上手くないと痛感しています。

なぜ、お金の使い方が上手くならないのでしょうか。

現在30代~40代の人であれば、それぞれの祖父母の世代は「家族が生きていくため」、両親の世代は「家族で豊かな生活を送るため」に、与えられた役割や仕事へ全力を注ぎ、自分の時間を捧げる時代でした。

さらに当時は、一時的に定期預金金利が年5%を超えるなど、元本保証のうえお金がどんどん増えていたため、お金は銀行に預けておけば良いという考えを持っている人が多いのも特徴です。

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このように、上の世代にお金を使う経験が少なく、お金を上手く使うノウハウを蓄積し、下の世代に学びを与える機会を作れなかったことが、現在の日本人のお金の使い方が上手くならない原因の一つではないかと考えています。

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「思わず無駄遣いをしてしまった」「必要なところで変にケチってしまった」など、私に相談いただく方は、お金を上手く使えず、何かしらお金の悩みを抱えています。

お金の悩みを抱えると、多くの人は「もっとお金があれば、幸せになれるのに!」と、考えることがあるようです。もちろん、私にも経験があります。

多くの人が、働いている間に多少我慢してでも貯蓄をするのは、お金を貯めておき老後の生活にゆとりと選択肢を持つと共に、お金の悩みを減らし、ストレスや不安を感じたくないという気持ちの表れです。

総務省の家計調査(2021年度)で公表されている、「二人以上の世帯の平均貯蓄額」によると、世帯主が40代では約1,100万円、50代で約1,800万円、60代で約2,500万円と増え続け、70歳以降は約2,300万円となっています。

それまでの人生の中で、最も多くのお金を手にした状態で、高齢期のスタートラインに立つ多くの日本人。

しかし、お金はあっても幸せはそう簡単には手に入らないようです。

貯蓄額が増えても“幸せを感じられない”日本人

内閣府の国民生活白書(平成20年版)で公表されている、「日本人の幸福度に関する分析」によると、日本人は歳を重ねるごとに“幸福度”が下がり続けていく傾向にあるというショッキングな結果が出ています。

内閣府「国民生活白書」(平成20年版)より
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ちなみにアメリカ人の“幸福度”は、40歳前後から上がり続けており、平均貯蓄額と“幸福度”の増加の傾向は一致しています。
※米国連邦準備制度理事会が公表したデータによると、アメリカ人の平均貯蓄額も日本人と同様に、歳を重ねるごとに増える

似たような貯蓄額の推移を持ちながら、幸福度がここまで大きく変わってきてしまうことについて、原因を探っていきましょう。

仕事柄、リタイアされ第二の人生を迎えた方とお話する機会は多く、老後の経済的な不安を取り除くために、シニア向けの『ライフプラン』を立てるお手伝いをしています。

『ライフプラン』とは、金銭面から見た人生の設計図のようなもの。

それぞれが理想とする将来像(旅行がしたい、趣味を続けたいなど)に基づき、将来必要となる資金額や、起こりうる危険(病気や事故など)を推測し、必要な資金をどのように調達するか、将来設計を変更する必要があるか、などを考える資料となります。

シニアの場合、現在の貯蓄額に、年金などの1年分の“収入”を加え、そこから生活費、医療費、お孫さんへのプレゼント代などの1年分の“支出”を引くことで、1年後の貯蓄額を予想。次に、1年後の貯蓄額に、1年後の年金などの“収入”を加え……と、以下同じ計算を繰り返すことで、将来の貯蓄額の推移を予想していきます。

中には“収入と支出が同額”となり、家計調査の結果のように、将来の貯蓄額が変わらない方もいらっしゃいます。

ファイナンシャルプランナーとして、「このままでは、せっかく貯めたお金に、使われる機会がありません」「何かご夫婦でやりたいことなどはありませんか?」と伺うと、最も多い回答は「特になく、これからは病気も心配なので、老後のために貯めておきます」というもの。

しかし、続けて「やりたいことをすべて叶えられた、幸せで良い人生を送って来られたのですね」とお伝えすると、「ただ……今思えば、あの時に●●をやっておけば良かった……」と、小さな後悔を口にされる方が、少なくありません。

言葉の裏には『残りの人生で使い切れないくらいお金が貯まるのであれば、あの時に持っていたお金を、躊躇せずに使えばよかった』という気持ちが込められています。

この小さな後悔は、一生消えることがありません。

むしろ、その後の人生で思い起こされる度に、返せない借金の利子のように、どんどん後悔が大きくなります。

もうお気づきだと思いますが、この小さな後悔という負の連鎖から逃れるためには、タイミングを逃さず「お金を上手に使う」ことが大切なのです。

富裕層から学ぶ「賢くお金を使うための準備」

私の身近に、自分が望んだタイミングで、上手にお金を使い、その後の人生に後悔を残さずに生きている人たちが数人います。

そのほとんどは、金融資産1億円以上を持つ、いわゆる富裕層の人たちです。

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「お金を持っている人は、自分たちとは違う」と感じられた方もいるかもしれませんが、ここまでにお話した日本人の傾向で分かるように“お金を持っている”ことが、お金を上手く使えることにはつながりません。

富裕層は、“お金を持っている”からではなく“お金を使う準備ができている”から、お金を上手に使うことができているのです。

そのような富裕層の方々が必ず行っている準備とは、人生の『ライフプラン』を立てること。

恐らく、富裕層の方々がライフプランを立てている一番の目的は、将来の相続時の納税対策を適切に行うための試算を行いたいからだと考えられますが、結果的に10年後、20年後の総資産を把握することができるため、今あるお金をいくらまでなら使えるか、正しく把握できています。

そのため、チャンスを逃さず、自分が望んだタイミングでお金を使うことができているのです。

ちなみに、過去の私がそうだったように、自分が今使えるお金を、正しく把握できている人は、あまりいません。

クレジットカードで買い物をした際、金額や支払い回数を、なんとなく大丈夫だろうと考え、いい加減にしていたことで、後日思いがけない額を請求され、冷や汗をかいたことは数知れず。

逆に、銀行に貯蓄はあるのに、財布の中身だけを見て買い物を諦め、後にクレジットカードで買えばよかったと悔やむことも。

他にも、数か月先に発生する大きな支払いをすっかり忘れて、お金を使ってしまい、資金繰りに困り、しばらく昼食を抜いていた時期もあります。

こんな私のような思いを、できればあなたにはしてほしくないのです。

ほぼ全てのご相談いただいた方にお伝えしていますが、私が出逢った幸せいっぱいの生活をしている人は、ほとんどが“たくさんお金を貯めた人”ではなく“たくさんお金を使った人”です。

人生100年時代となり、ますます過去の経験や思い出を振り返る機会が増えていきます。

どうか、お金を使わなかった「小さな後悔」ではなく、お金を使って得た「幸せの記憶」を残すように意識してください。

幸せの記憶は、思い出すたびに利息を受け取るように、あなたに喜びを与えてくれることでしょう。

お金の使い方が上手くなることで、あなたの人生がより良くなり、幸せな気持ちが続く日々を送られることを、心から祈っています。

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