20日に閉幕した女子W杯で大会得点王に輝いた日本代表「なでしこジャパン」MF宮沢ひなた(23)が、マンチェスターU(イングランド)に移籍することが29日、決定的となった。フランクフルト(ドイツ)やリバプール(イングランド)など複数の欧州強豪クラブが獲得に乗り出していたが、新天地は昨季のFA女子スーパーリーグ2位で、女子欧州CL挑戦権がある名門クラブとなる。 【写真】おしゃれ私服で渡欧!空港での全身ショット 「赤い悪魔」と呼ばれるマンチェスターU(マンU)が日本のシンデレラガールを射止めた。宮沢が「個人として一回り大きくなる必要がある」と、海外移籍を前提に仙台を離れ、28日に羽田空港から乗り込んだ航空機はロンドン行き。オファーを受けたリバプールかと思われたが、真の目的地はマンチェスターだった。 争奪戦となっていた宮沢の移籍先は、フランクフルトが優勢とみられていた。だがW杯の活躍を受け、イングランドの名門が獲得競争に参戦し土壇場で逆転。現地で関係者と合流後に契約条件などの最終交渉へ臨み、メディカルチェックなどを経て、近く正式発表される見込みだ。マンUは香川真司も在籍した世界的ビッグクラブとして名高いが、女子もFA女子スーパーリーグ(女子のトップリーグ)で昨季2位の強豪。女子欧州CLには予備予選2回戦から登場する。W杯には、イングランド代表に3人をはじめ、フランス代表に1人など7選手を送り込んだ。 イングランド内のライバルクラブ・マンチェスターCには、なでしこのチームメート長谷川唯が所属。日本人選手同士による“マンチェスターダービー”も実現間近だ。女子サッカー地位向上のため、両クラブともダービーマッチには力を入れており、マンUは11月19日の直接対決を、男子のホーム・オールドトラフォードで開催することを決定。「たくさんの人に応援されて愛される選手になりたい。いろんな人が応援してくれるのは心の支えで原動力。もっと頑張らないと」という宮沢にとっても聖地での一戦は大きな力となりそうだ。 女子W杯で圧倒的なスピード、そして決定力で得点王に輝き、世界にその名を広めた。渡欧前には「世界的にも有名な選手になることが目標。いろいろな国の選手に囲まれてレベルアップできたら。自分らしく思い切ってプレーしていきたい」と決意を語っていた。パリ五輪の金メダル、そしてW杯制覇へ。ニューヒロインがさらなる飛躍へ向け、伝統のユニホームを着て新たな一歩を踏み出す。 ◆宮沢 ひなた(みやざわ・ひなた)1999年11月28日、神奈川・南足柄市生まれ。23歳。幼稚園の時にサッカーを始め、向田SC、OSAレイアFC、星槎国際高湘南を経て2018年、日テレ東京V加入。21年、マイナビ仙台に完全移籍。16年U―17W杯準優勝、18年U―20W杯優勝。同年11月にA代表デビュー。22年、法大スポーツ健康科学部卒業。右利き。160センチ、48キロ。 ◆マンチェスターU女子 かつて2005年に解散したが、長年の議論を経て18年に復活。18―19年シーズンに2部に参加し、優勝を果たして1部昇格。19―20年から参加した1部リーグでは、昨季の2位が最高成績。本拠地はリー・スポーツ・ビレッジ(収容1万2000人)。