関西国際空港で発生したはしか(麻疹)の集団感染。日本では約40年前から、はしか予防の定期接種が行われているが、接種回数の違いなどから20〜30代は免疫力の不十分な“空白の世代”とされ、近年の発症者はこの世代に集中している。
昨年を上回る感染者
感染力が強いはしかは、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症する。以前は子供のころに感染して、免疫を得るのが一般的だったが、昭和53年に子供を対象としたワクチンの定期接種が始まると、感染者は大幅に減少した。
ただ、国立感染症研究所によると、昨年1年間の患者数は全国で35人。今年は8月28日までに41人で、すでに昨年を上回った。
急増の背景にあるのは、ワクチン接種をめぐる制度変更だ。定期接種は当初、1回だけだったが、十分な免疫力がつかないケースがあることが判明。平成18(2006)年からは2回接種になった。
また、40歳以上ははしかが流行していた時代に自然感染し、免疫を獲得している人が多いが、1回接種の時期に子供時代を過ごした今の20〜30代は十分な免疫を得ていない可能性がある。今回の関西を舞台とした集団感染のほとんどが、この世代に集中している。
国や大阪府は、はしかにかかったことがなく予防接種が1回以下の人には、はしかワクチンを接種するよう呼びかけている。