東日本大震災の津波に耐えた住宅の構造を調べるため、設計会社「構造計画研究所」(東京)が8日、多くの建物が被災した宮城県石巻市門脇地区で、流失を免れた木造住宅を調査した。同社は調査で得た知見を災害に強い建築物の普及活動に生かす方針。
住宅は大工浜谷正夫さん(65)方。木造2階で、1991年に自ら腕を振るい建築した。周囲で大半の家が流される中、原形をとどめた。
現在は仮設住宅で暮らす浜谷さんは、家が残った理由を知りたいと、知人の助言で調査団体を探し、研究所が無償で引き受けた。
研究所の高橋治技師長らが調べたところ、床板の補強材をボルトで土台のコンクリートに固定していたため、津波でも床が浮かなかったとみられる。大きな柱を使用したり、はりに鉄筋を通して補強したりと、地震などに備え頑丈に造られていた。
高橋技師長は「はりに鉄筋を通すのは最先端の工法で、20年前の建物とは思えない。大工さんが心を込めて丁寧に建てたことが分かる」と述べた。
浜谷さんは「家が流されなかったのは大工としての誇り。このような方法がいいと分かれば、他でも取り入れてほしい」と話した。