ひろゆき「僕はタワマンがうらやましくない」…生活レベルを落として暮らす「ラクな生き方」のススメ

お金がもっとあったら幸せになれるのに」。私たちはつい、そう思いがちだ。しかし、新刊『気にしない生き方』を発表したひろゆき氏は、「お金持ちになっても幸福度は変わらない」「生活レベルを上げても幸せは得られない」と断言する。その納得の理由とは? そして、本当に幸せになれるお金の使い方とは……?

前編を読む:ひろゆき「お金持ちになっても、幸福度は大して変わらない」が…数少ない「お金の幸せな使い道」

貧乏だったときから変わらない金銭感覚

僕の場合、お金をぜんぜん持っていなかった頃も、たくさん持つようになってからも、その前後で金銭感覚はほとんど変わっていません。

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大学生だった頃に住んでいたアパートの家賃は28000円、ネット回線が3000円。部屋で炊いたご飯を大学に持っていって、友人たちからおかずを1品ずつもらうなどということもよくやっていました。なので、食費もあまりかかりませんでした。全部ひっくるめても、月の生活費は5万円くらいでしたね。

「月に5万円あれば暮らせる」。それがわかったことは、僕にとって大きな意味がありました。

結局、僕は会社に就職することなく、ネット関連のビジネスなどを手がけて今に至るわけですが、もし会社に就職していたとしたら、金銭感覚は大きく変わっていたかもしれません。

僕はこれまで定収入のある生活をしたことがないので、お金がなくなるかもしれないという不安が常にある。なので、今お金があるからといって、ぜいたくをしようという気にはとてもなれないんですよね。

会社に勤めている人は、毎月決まった額の給料が振り込まれることを当然だと考えているでしょう。日本にはまだ年功序列の会社も残っていたりしますから、頑張れば毎年ちょっとずつ給料が上がるんじゃないかと期待している人もいるかもしれません。

タワマンに住みたいと思ったことがない

定期的な収入がある人が陥りがちな罠は、「つい生活レベルを上げてしまう」こと。

「今住んでいるところよりも、次はもっと広い部屋に住みたい」「評判のレストランで食事をしたい」「おしゃれな服が欲しい」「スポーツジムに通いたい」……。定収入があると、ついついこんなふうに生活のレベルを上げたくなってしまうんですよね。

最初のうちは、ちょっとしたぜいたくをするだけで、かなりテンションが上がります。だけど、繰り返していくうちに、そのぜいたくは当たり前になっていく。以前ほど気分が盛り上がるわけではないのに、そのぜいたくができないと、すごく貧乏になった気になる。これが生活レベルを上げると「損」なところだと思います。

足立区で暮らしている年収600万円の人が、港区に引っ越したら生活は相当キツくなるでしょう。買い物や外食でお金がかさみますから、自分としては同じような生活をしているつもりでも、いつの間にかお金がなくなってしまう。

ましてや、タワーマンションに住みたいなどと考え始めたら大変です。もしあなたが今、タワマンに住んでいたら申し訳ないのですが、僕はタワマンがぜんぜんうらやましくないんですよ。

タワマンの40階に住んでいる知り合いによれば、エレベーターもなかなか来なかったりして、近所のコンビニに行って帰ってくるだけで30分かかってしまうそうです。そんなに不便な家の何がいいか僕にはよく理解できないんですが、たぶんみんな、「これがすてきな生活」だと思い込まされているのでしょうね。

住む場所とか、食べるものとか、いったん生活レベルを上げてしまうと、給料がいくらあっても満足感は得られませんし、むしろ下がってしまうことも多い。上がってしまった生活レベルを維持するために、楽しくもないのに働き続けなければならなくなってしまいがちです。

生活レベルを上げても幸せは得られない

こういうと語弊があるかもしれませんが、ぶっちゃけ、生活レベルを上げて以前よりも幸せになったという人を僕は見たことがないんですよね。報酬が増えて幸せな人はいますけど、そういう人はだいたい無理に生活レベルを上げようとはしていないものなのです。

今の生活レベルを維持しなければならないと思い込んでしまうと、給料が下がる、あるいはなくなることが、ものすごく怖くなります。「イヤなことがあっても、絶対にこの会社を辞められない」という不安が勝って、ストレスがたまっていくわけです。

そもそも自分の生活レベルを上げないようにしていれば、会社を辞めて転職したり、ぜんぜん別のことを始めたりと、たくさんの選択肢から選べるようになりますよね。

生活レベルを上げてしまう人は、貯金もなかなかたまりません。

たとえば、「毎月5万円ためよう」と決めたとしましょう。ちゃんとそのルールを守れるのであれば立派ですが、逆にいうと「5万円の貯金さえできれば、あとは使ってもいい」という理屈も成立してしまいます。給料が上がったとしても、出費のほうもどんどん増えていってしまう。

毎月5万円貯金したら、1年間で60万円。1カ月の生活費が5万円の人は1年間暮らすことができますが、20万円の人は3カ月、30万円の人は2カ月しか暮らせません。

年収200万円で毎月5万円ためられる人はそんなに困窮することはありませんが、年収1000万円で毎月5万円しか貯金できない人は、仕事を辞めたらあっという間に行き詰まってしまうでしょう。

「給料を上げるスキル」よりも、「ムダなモノを一切買わないで生活できるスキル」を持っていたほうが、結果的に貯金が増えるし、人生の選択肢も広がりますよ。

「自分の維持費」を削減してみよう

ぜいたくな生活をしている人と自分を比較していては、いつまで経っても幸福を実感することはできません。いい大学に進学し、いい会社に入社し、年収が上がる。それが当たり前だと思い込んでいると、どんどんキツくなっていきます。

なので、人生のどこかで一度落ちぶれてみる、生活レベルを思い切り落として、「自分の維持費」を削減してみることを、僕はあえておすすめします。

日本であれば、どんなに落ちぶれたとしても生活保護がもらえます。僕の知り合いには、何人か生活保護を受けている人がいるんですけど、彼らの生活はぜんぜん惨めではありません。家賃の安いところに住んで、ムダなモノを買わず、賢く制度を利用して、けっこう楽しそうに生きていますね。

僕は現在フランス在住で、日本と海外の違いを肌感覚で実感することが多いんですけど、日本での「最低限の生活レベル」というのは、想像するよりもだいぶ高いところにあるんですよ。

たとえばグアムなんかだと、4分の1から3分の1くらいの人がフードスタンプをもらっているらしいですね。観光客とアメリカ政府がどんどんお金を落としてくれるから、みんな無理して働く必要がない。誰もフードスタンプをもらうことに罪悪感を覚えたりしません。

日本人ももう少し世間体を気にしなくなれば、今よりずっとラクに生きられると思うんですがね。

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