ひろゆきが「人に使われる〝労働者〟を育てる日本の教育で本当にいいの?」と思うワケ 

日本屈指のインフルエンサーであるひろゆき氏。彼が鋭く切り込む問題の中で最近注目を集めるテーマが「教育」「子育て」だ。それらをまとめた初の教育&子育て論本『僕が親ならこう育てるね』も続々重版し、話題を呼んでいる。そんなひろゆき氏が今回語るのは「日本の詰め込み型教育」についてだ。

◆詰め込み型教育では、人に使われるだけの労働者にしかなれない

ひろゆき © 日刊SPA! ひろゆき

 詰め込み型教育のシステムを取っている日本や韓国、中国はノーベル賞受賞者の人口あたりの比率が低いというデータがあります。

 学会などで評価される論文は、ほかの人が見つけていないものを見つけたときに評価されるわけですが、“正解のあるものをひたすら暗記したものが偉い”という教育システムでは、その能力があまり育たないようです。

 そんな事実を頭では理解しているものの、それでも暗記型のペーパーテストで進学先を決める教育システムを採用する日本人を見ると、他国が別の方式を取っていることを知らない人が多いのではないかと思うのです。

◆日本とは大きく違う欧米のテスト

 例えば、アメリカの大学。受験の合否判定に「SAT」という何度でも受けられるテストの点数を利用しています。しかし、それは審査項目の一つでしかなく絶対視されるわけではありません。

 また、フランスでは「バカロレア」という論文のテストがあります。問題はこんな感じです。

問:4つのうち好きな1問を選んで、それについて答えなさい。

①議論することは暴力を放棄することか?

②無意識は、すべての形の認識を逃れるか?

③私たちは、未来に対して責任があるか?

④エミール・デュルケーム『社会分業論』(1893年)の抜粋テキストを解説せよ。

 こういう問題は、詰め込み型の暗記では何ともなりません。

◆詰め込み型教育は「優秀な労働者」をつくるシステム

© 日刊SPA!  日本では、面白いビジネスモデルをつくって会社を大きくしているタイプの人に東大卒の人は少ないと言われています。

 これは日本では起業をせず、高給取りのサラリーマンになったほうが「安全で稼げる」という計算が成り立つからだと思います。

 つまり、詰め込み型教育は優秀な経営者ではなく、優秀な労働者をつくるシステムになってしまっているのです。

◆学歴で就職できても、その後に苦労する人が多い時代

 先日、某ネット動画配信で、東大卒の人たちが「小学生の頃に親から勉強しろと言われたが、以降はあまり言われていない人が多い」という話をしたらしいのです。たしかに小学校の頃から勉強の習慣があり、勉強の仕方を知っていて記憶力が良ければ、学力の高い人は出てくるでしょう。

 しかし、昨今は学歴で就職できても、その後に苦労する人が多い時代です。学力で幸せになることは厳しい気がしています。

 それを理解しつつも「学歴はないよりはあったほうがいい」ということで「小学生のときから勉強をさせる」と考える親もいます。

◆学力をつけるために、何を失ったか?

「ないよりはあったほうがいい」は考えとしては正しいです。しかし「学力をつけるために、何を失ったか?」を見ない人が多い気がします。

 小学生の頃から遊ぶ時間を削り、夜遅くまで塾に行かせることで失うこともあるのではないか、と思うのです。

 何も失わずに学力をつけることができればいいのですが、何かを失ってまで学力をつけさせ労働者として育て上げることが本当に幸せなのか……。そう考えると結構微妙ですよね。

 高給取りの優秀な人でも、労働者であれば、結局は誰かに使われ上司に頭を下げて暮らすことになります。それであれば、収入は多くないけど、楽しく暮らして死んでいくというのもいいんじゃないか、と思うのです。

【ひろゆき】

西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。『僕が親ならこう育てるね』という初の子育て論本が発売。著者印税は児童養護施設へのパソコン寄贈に充てられる

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