ふぞろいの魚でも、おいしい  横浜の小学校で独自給食

魚体の小ささやふぞろい、漁獲量の少なさで流通ルートに乗らない「未利用魚」を活用した特別メニューの給食が13日、横浜市神奈川区内の市立小学校9校で実施される。世界規模で魚の漁獲量が減少傾向をたどる中、子どもたちに水産資源を取り巻く課題を考えてもらおうと、同区内に本場を構える市中央卸売市場と区内小学校が連携。魚食普及の一環でもあり、栄養素の摂取はもとより、おいしさを心掛けた献立がお目見えする。

【未利用魚】さばのピリ辛ソースなどレシピを紹介

 「規格外の魚をどのように調理したら、おいしく食べられる?」「販売しても良いのでは」。市立幸ケ谷小学校で1日行われた「独自給食」の事前授業。水産仲卸の横浜丸魚の齋藤融さんが講師を務め、水産資源を巡る現状と課題、未利用魚活用の意義について5年生106人に分かりやすく説明した。

魚の魅力を伝える「おさかなマイスター」でもある齋藤さん。漁獲量の減少と日本での魚食離れの相関などについてスライドを使いながら解説。実物の未利用魚を手にしながら、肥料の原料に回されたり、破棄されたりする現状に言及し、「(規格外の)サイズの魚がおいしい給食になれば、どんなに良いことでしょう」と呼び掛けた。

未利用魚の有効活用は全国的な課題でもある。同市場はかねて魚食普及や食育の一環として、市場で働くプロを講師に「いちば食育出前授業」を実施。学校単位で独自に献立を作成、実施する独自給食で未利用魚を活用できないか、検討してきた。

具体化に向け、魚にのみ含まれる栄養素を取りながらおいしく食べられる献立を目指し、学校給食の栄養士を中心にさまざまな調理法を考案。試食を繰り返し、「イワシのカレー揚げ」と「サバのあんかけ」の2品が決定した。

独自給食は13日の9校に続き、12月17日に3校で実施される。同市場の担当者は「魚食の普及に加え、水産資源の有効活用、県産魚の地産地消促進という観点からも、継続した取り組みを検討したい」としている。

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