自己負担2,000円でお米やお肉などの食品から家電、宿泊券などさまざまな返礼品がもらえる、とってもお得な「ふるさと納税」。今年こそ始めてみようと考えている方に向けて、初心者がやりがちなNG行為をまとめました。知っておきたい注意点や、もっとお得に使えるふるさと納税の方法もあわせて解説します。
ふるさと納税とは
ふるさと納税は実質負担2,000円で、地域の特産品などを返礼品として受け取れる寄付の仕組みです。生まれ故郷だけでなく、寄付先の自治体を自由に選ぶことができます。寄付することで地域へ貢献し、かつ返礼品が手に入ります。寄附金税制を活用しており、寄付することで住民税(または所得税)が軽減されます。そのため一時的に寄付額の負担が増えますが、最終的に税の軽減により実質負担が2,000円になります。
大変お得な制度ですが、活用したことがない人もまだまだ多いようです。寄付自体は簡単にできるのですが、気をつける点が多いため、最初の一歩が踏み出せないようです。
初心者がやりがちなNG行為3点
ふるさと納税初心者の人がやりがちなNG行為は大体決まっています。代表的な3点の行為を解説しますので、これから始める人は特に注意してくださいね。
NG行為(1):限度額を間違えて自己負担増
ふるさと納税をするにあたって、いくらまで寄付すれば自己負担2,000円で済むのか「限度額」を調べる必要があります。これを正しく計算せずに寄付すると自己負担2,000円を超えてしまいます。限度額を超えた途端に「返礼品を通常販売額よりとても高い金額で購入している」みたいな状況になるので要注意です。
多くのサイトで目安額や簡易シミュレーションが紹介されていますが、正しい金額にはなりません。源泉徴収票を使って詳細な金額を出せるシミュレーションもありますが、前年の源泉徴収票を使って計算するため「今年の限度額」にはなりません。サラリーマンであれば近似値は出せるでしょう。ただし、年収に変動がある人には向きません。
12月の年末時点で年収が確定すれば、給与明細などを見ながら正しい限度額を算出できます。そこからあわてて年末に向けて残り金額を寄付できれば完璧です。
「そんな難しいことはできない!」という方は、簡易シミュレーションから算出した限度額で、控えめに寄付しておきましょう。何もやらないよりはずっとお得です。
NG行為(2):5箇所超の自治体に寄付して確定申告するはめに
ふるさと納税で税金の控除を受けるためには確定申告が必要ですが、「ワンストップ特例」を使えば確定申告なしで控除できます。ただし寄付先は5つまで。超えてしまうと確定申告しなければなりません。
ワンストップ特例を使う際は以下3点に注意してください。
・寄付先の自治体は5つ(回数ではない)まで
・会社員など元々確定申告の必要がない方が対象
・提出期限(翌年の1月10日自治体必着)までに申請書を提出する
ふるさと納税をする度に、毎回申請書を提出する必要があります。また、後から確定申告に切り替えることも可能です。
電子申告とマイナンバーカードの普及で確定申告は以前に比べて簡単になりましたが、初心者にはまだハードルが高いでしょう。確定申告時の税務署は大変混み合う上に、土日の開庁は限られています。電子申告も手間です。ふるさと納税はできるだけワンストップ特例で済ませたいですね。
NG行為(3):寄附金控除証明書を紛失
ワンストップ特例を使えば証明書を紛失しても住民税の控除ができます。しかしワンストップ特例を選択しても医療費控除などで「やっぱり確定申告することになった場合」はふるさと納税も併せて申告しなければなりません。
その際には寄付金控除証明書が必要になるので紛失には注意しましょう。自治体によっては再発行も可能ですが手間と時間がかかります。
ふるなび、さとふる、楽天ふるさと納税、ふるさとチョイスなどの国税庁長官より指定された特定事業者(※)を使ったふるさと納税であれば、「寄附金控除に関する証明書」と呼ばれる1年間分をまとめた証明書を発行できます。そちらを使えば紛失の心配がない上に確定申告が簡素化できるのでおすすめです。
※参照:国税庁「国税庁長官が指定した特定事業者(令和4年10月13日現在)」
知っておきたいその他の注意点
ふるさと納税をする上で知っておきたい注意点は、(1)返礼品が届くタイミングと、(2)税金控除の時系列の話です。
(1)返礼品が届くタイミング
ネットから簡単に寄付ができるので、ネットショッピングをしているかのような感覚になるかもしれませんが、返礼品が届くまでの期間は全く別です。ふるさと納税の場合は届くまでに何ヵ月もかかることも。特に季節の農産物などは気長に待つ必要があります。
なお、寄付した翌年に届く場合もありますが、限度額の計算は寄付をした年ごとに累計します。
(2)税金控除の時系列
ふるさと納税による住民税の軽減は、寄付をした年の翌年になるため、時系列がずれます。
住民税は6月に決定するので、寄付した翌年6月から安くなります。
会社員の方は給与から天引きになるので、6月に職場でもらえる住民税決定通知書を確認してください。
確定申告をした場合は所得税から控除され、確定申告後に指定した口座に振り込まれます。どちらにせよ、寄付をした年内に還付などがされるわけではありません。実質2,000円負担とは言え、一時的には寄付分の全額負担することになります。
もっとお得に使うふるさと納税の方法
「ふるさと納税するならとことんお得にしたい!」と考える方は、以下のような方法も検討してみてください。
家族みんなでふるさと納税
ふるさと納税は家族単位ではなく個人でするものですが、どうせするなら家族全員でするのがおすすめ。共働き夫婦や就職しているお子さんなど、所得税や住民税がかかる人なら誰でもふるさと納税をする価値があります。
返礼品選びは還元率に注目
よりお得感を得たい人は、還元率に注目して返礼品を選んでみましょう。返礼品の還元率はそれぞれ大きく異なります。分かりやすく説明すると10,000円の寄付に対して2,000円相当の返礼品もあれば、3,000円相当の返礼品もあるという話です。
なお損するわけではないので還元率が低い返礼品を選んでも、限度額を超えなければ問題ありません。
サイト選びでポイントを貯める
普段キャッシュレス決済などでポイントを貯めている人は、同じポイントが貯められるふるさと納税サイトを選ぶのがおすすめです。ポイントによって相性がありますし、初めての人を対象にしたお得なキャンペーンも盛りだくさんなので、サイト選びでもお得度に差が出ます。
少々注意点の多いふるさと納税ですが、少しの手間と2,000円の自己負担で魅力的な返礼品が手に入ります。限度額は1月から12月の年単位で決まり、寄付日で判定するので過去年分を遡ることはできません。興味のある方はぜひ年末に向けて調べてみてくださいね。
(森本 陽子)