また“不都合な真実”韓国の外国人労働者への“ブラック”ぶりに仰天…アムネスティも激怒

不都合な真実が、またひとつ明らかになったのだろうか。
 非正規雇用と正社員の待遇格差が社会問題化している韓国だが、肉体労働に就く外国人労働者に対する仕打ちの厳しさは尋常ではないようだ。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが、「韓国の農場で働く外国人労働者が蔓延する虐待の犠牲になっている」と警告したのだ。日本より稼げるとの期待から東南アジアの労働者を中心に人気のある韓国。その現実は決して甘くはない。
殴打…理由は野菜の切り方が悪い
 アムネスティが10月下旬に公表した報告書。そのタイトルは「Bitter Harvest」(ビター・ハーベスト)。苦渋、厳しい、つらい収穫といった意味だ。韓国の農場で働く外国人労働者に対して行った聞き取り調査の結果をまとめたもので、リアルな労働現場の一端が浮き彫りとなった。
 AFP通信は、25歳のカンボジア人労働者のケースを紹介した。
 自分が雇い主から殴られている様子を撮影した携帯電話の録画映像を持って、政府機関に飛び込んで惨状を訴えた。だが「キャベツの切り方を間違えた自分が悪い。早く帰って雇い主に謝るようにいわれた」という。
 労働環境の改善を求めようとした労働者が韓国政府当局から妨害を受けているため、報告書は政府がある程度関与している可能性さえ疑った。
虐待の連鎖、韓国人は耐えられるか
 韓国にいる外国人労働者25万人のうち、2万人が農業に就いている。カンボジアのほか、ネパールやベトナムなど東南アジア出身者が多くを占める。
 外国人労働者に対する暴力だけでなく、長時間労働や拘束的な扱い、脅迫まがいの対応が横行。AFPによると、アムネスティで移民人権問題を担当する調査官が「もし韓国人が同じような虐待の連鎖の中に追い込まれたならば、間違いなく激怒の声を上げる」と指摘したほどだ。
 報告書が問題視しているのは、韓国の「雇用許可制度」(EPS)と呼ばれる制度だ。
 EPSのもとでは、外国人労働者が転職する際は、雇用主がサインした解雇証明書が必要だ。これが過酷な労働の温床になっているとみている。仕事を変えたくても簡単にはできない仕組みが韓国の雇い主を増長させる環境を生みやすいからだ。
 ちなみに日本で「強制労働」の違反に対して、労働基準法で最も重い法定刑が課せられているのも、国際社会が認める基本的人権を守るため。民法上は、労使対等とされていても、実質的には弱い立場にある労働者を保護するための特別法として労働法は整備されてきた経緯がある。
「非道な扱い」韓国政府は否定
 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)もアムネスティの報告書を取り上げた。
 報告書の指摘について韓国政府が「否定」していることを伝えたうえ、高齢化により外国人労働者への依存を高めていかざるをえない国での移民問題としてとらえた。
 韓国の雇用労働部は、労働者の権利を強化するため、これまで継続的に規制を変更してきたと主張。EPSの就労許可は特定の雇用主との「契約」に基づいているとの立場を説明したという。
 ただEPSは、2004年に、低賃金労働者の確保で苦労している小規模事業者の支援策の一環として導入された過去がある。背景にあるのは労働者不足だ。韓国の外国人労働者は貧しく、韓国人がやりたがらない仕事に就くケースが多い。
 経済協力開発機構(OECD)によると、高齢者人口に対する生産年齢人口比率は、2010年は6倍だったが、50年には1・3倍にまで縮小する見込み。出生率が極めて低く、人口構成の変化が移民の大量に受け入れの呼び水になりえる。韓国は海外志向が強く、若くて優秀な人材が韓国を出て北米に移住したり、働きに出ることが多いことも、人材難に拍車をかけている。
 一方で11月には韓国と中国が自由貿易協定(FTA)で実質的に合意。聯合ニュースによると、コメや牛肉など主な農水産物を開放の対象から外すことができたが、それでも、農水産物輸入額のうちFTA締結国分が占める割合は64%から80%にまで高まる。このため、韓国の農業の競争力の低下が懸念される。
 経営が苦しくなった農家は人件費の安い労働者への依存を強めかねない。自国の労働現場を支えるために外国人労働者をもっと増やしていくなら、待遇のあり方が議論の的になるのは必至だ。

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