福井県南越前町の南条中学校で、県域準絶滅危惧種のコシアカツバメが集団で営巣している。校舎や体育館などの外壁に作られた巣は150個近く。学校関係者によると1週間に一つ以上のペースで巣が増えており、ただいま“新築ラッシュ”。教員や生徒はツバメたちを温かく見守り、共同生活を楽しんでいる。 【写真】校舎に降り立ったコシアカツバメ 鳥類に詳しい福井市自然史博物館の出口翔大学芸員によると、コシアカツバメは建物の壁や天井などに営巣するが、近年は新建材やガラス張りなど巣作りしにくい建造物が増え、生息数が減少。2016年には県域準絶滅危惧種に指定された。県内では坂井市、鯖江市、おおい町以外で生息するが、100以上の巣がまとまって確認されているのは南条中のみという。 出口学芸員によると、1990年代以前からコシアカツバメが集団で営巣していた。巣を作りやすい凹凸のある外壁であることや、巣を作ったツバメがさらに新たなツバメを呼び寄せることなどが理由で、大規模な営巣地になったとみられる。 今年は4月下旬~5月上旬に飛来した。齋藤為之校長は「日々、巣が増えており、校舎がコシアカツバメのマンションのよう」と笑顔。現在は子育て真っ最中のようで、親鳥がせわしなく校舎付近を飛び回っている姿が見られる。 これだけ巣が多いと鳴き声は校舎内にも響き、教室にツバメが飛び込んでくるハプニングもあるが、生徒たちはいつものことと慣れっこ。コシアカツバメを題材にした詩を書いたり、生態を研究して発表したりする生徒もいるという。 生徒会長の男子生徒(3年)は「ツバメとの生活も学校生活の一部。活気ある鳴き声を聞くと明るい気分になれる」と話す。齋藤校長は「ツバメに生徒たちも癒やされている。自然と共生できる環境を大切にして、優しく見守っていきたい」と話していた。