みずほ、反転攻勢へ=「鬼門」のシステム統合完了-収益回復へ真価問われる

みずほフィナンシャルグループ(FG)の新たな銀行業務の基幹システムが16日、全面的に稼働した。17年越しの課題だった3系列のシステムを統一し、2002年と11年の2度にわたり信頼を失墜させた大規模システム障害の過去から決別。「鬼門」突破で仕切り直し、稼ぐ力で水をあけられている他のメガバンク2行に対し、攻勢に転じる。

 みずほFGは、02年の旧第一勧業・旧富士・旧日本興業の3行統合以降、旧行のバランス維持に腐心し、経営課題の解決が実質的に後回しとなった。必要なシステム投資を先送りしたつけは重く、障害対応などに資源をそがれた結果、近年は収益力で三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループの後塵(こうじん)を拝している。

 背水の陣で業績回復に挑むみずほFGは19年3月期、今回完了したシステム統合を含む構造改革費などとして約7000億円に上る巨額損失を計上。重荷を一気に解消し、「次世代型の金融にかじを切る」(坂井辰史社長)と宣言した。

 みずほは20年開業を目指し、無料対話アプリ大手LINEと新銀行を設立した。ソフトバンクと共同で人工知能(AI)が審査を行う個人向けローンを始めたほか、「QRコード」を使った独自の決済サービス「Jコインペイ」には全国の地銀約100行の半数以上が加わる見通しだ。今回の基幹システムは異業種連携をてこにした国内収益に追い風となる。

 ただ、この分野は新規参入企業を巻き込んだ競争が激しい。頼みの海外市場でも、みずほが注力する多国籍企業への投資銀行業務は途上にあり、「成長分野への投資余力を盤石にする」(坂井社長)ための改革の成否に国内外でみずほの真価が問われる。 

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