みちのく怪談コンテスト 大賞は横浜の佐原さん「岩手の花」

 「遠野物語」刊行から100年を記念し、仙台市の出版社「荒蝦夷(あらえみし)」が企画した「みちのく怪談コンテスト」の受賞作が23日までに決まった。大賞には横浜市の会社員佐原淘(とう)さん(46)=ペンネーム=の作品「岩手の花」が選ばれた。来春には優秀作を集めた作品集が荒蝦夷から出版される。
 東北の怪談文芸を復興させようと展開している「みちのく怪談プロジェクト」の一環。全国から350点が寄せられ、大賞のほか優秀賞3点、佳作9点、審査員による賞など計18作品が入賞した。
 大賞の「岩手の花」は自殺しようと岩手を訪れた男が岩から突き出た多くの手によって救われる物語。叙情的かつ幻想的な作品で、文学作品としても優れていると評価された。優秀賞には山形市のさとうゆうさん(ペンネーム)の「隠し子」、佳作には登米市のミッチー芳賀さん(同)の「野狐(のぎつね)と私の勝負」が入るなど東北から5人の作品が入賞した。
 選考委員は文芸評論家で怪談専門誌「幽」の東雅夫編集長、赤坂憲雄東北芸術工科大東北文化研究センター所長、作家の高橋克彦氏の3人が務めた。東さんは「レベルの高い作品が集まり、入賞作は拮抗(きっこう)していた」と講評した。
 怪談・妖怪ブームもあってコンテストは好評で、来年以降も続ける予定。応募作品は「みちのく怪談コンテスト」特設ブログに掲載されている。連絡先は荒蝦夷022(298)8455。

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