石巻市は6日、東日本大震災の災害公営住宅の供給計画を改定し、市街地に追加整備する災害公営住宅600戸の一部について、既存の民間賃貸住宅を充てる方 針を盛り込んだ。被災者が現在住む「みなし仮設住宅」を、「みなし災害公営住宅」に切り替えることを想定している。国などによると、民間賃貸住宅の災害公 営住宅化を図るのは被災自治体で初めてという。
市は、アパートやマンションの一部屋単位で借り上げる。宮城県が借り上げているみなし仮設住宅の契約期間終了後、災害公営住宅とする方針だ。
既存の民間住宅を活用することで、新たに整備する必要がなく、入居までの期間を短縮できる。将来の管理負担が少なくなる利点もある。被災者には所得に応じて家賃が生じるが、住み着いた地域から移住せずに済むメリットがある。
市は昨年、市街地のみなし仮設住宅約3000戸を対象に災害公営住宅化に関する調査を実施。所有者と入居者の意向などから、導入できる戸数を100~150程度と見込む。
市は本年度、借り上げる建物の構造や耐震性能などの基準づくりを進める。災害公営住宅への移行に応じる所有者と入居希望者を募る予定。2016年度の入居開始を目指す。
市は供給計画で、災害公営住宅を市街地に600戸追加して半島部は100戸減らし、計4500戸を整備するとしていた。市は負担抑制や転居を望まない世帯のニーズに対応するため、代替策を検討してきた。
市復興事業部は「震災で家をなくした市民に早急に住まいを提供するため、民間にも協力をお願いする」と話した。