みんな寂しい…団地ヤギ、雑草完食し任務終了

都市再生機構(UR)が東京都町田市の町田山崎団地で続けていたヤギ4頭を使った実証実験が29日、終わる。
 2か月間で5000平方メートルの雑草をほぼ食べ尽くし、住民の心を和ませる「予想外の効果」(UR)も生んだ。「もっといて、さびしい」と記された住民の貼り紙も現れた。任務を終えてレンタル業者の元に戻るヤギとの「お別れ会」が、同日午前11時から現地で開かれる。
 オス1頭、メス3頭のヤギは、9月24日から団地内の谷間に放し飼いにされ、日中、ススキやヨシ、セイタカアワダチソウなどを食べ歩いた。夜になると自分でテント小屋に入り込み、台風の時もここで雨風をしのいでいた。
 当初は、ふんの臭いなどを心配する声もあったが、ヤギは次第に住民の心に溶け込んでいった。居住区とは柵で仕切られたが、谷を見下ろす団地内の「三の橋」では、のんびり暮らすヤギを眺める住民が日に日に増え、幼稚園児たちも草を食べさせるなどした。そのうち、「雑草を食べ尽くしている。もっと草がある場所に移してあげて」などと、ヤギを気遣う声が自治会に寄せられるようになった。
 先月末、自治会役員宅に匿名の手紙が届けられた。「ヤギを間近に見るのは60年ぶりぐらいです。姿もやさしいし、鳴き声も楽しく、心がなごみます。飼育の永続を願っています」
 今月14日には三の橋に貼り紙が貼られた。「毎日この道を通るのがたのしみです。でも29日でサヨナラ? もっといて、さみしいです」
 町田山崎団地自治会の吉岡栄一郎会長は「以前は『草を刈ってくれ』と苦情が出る場所だったが、ヤギが来て、団地全体が明るくなった。草が茂ったらまた来てほしい」と話す。
 実験を担当したUR都市環境計画チームの持田太樹主査は「ヤギが雑草を一掃したのは予想通りだったが、これほど、住民に心理的な影響を及ぼすとは思わなかった」と話す。
 今回は、URにとって初の試み。同団地の住民100人を対象にアンケートを行っており、その結果やコストなどを分析した上で、各地の団地での本格導入を検討するという。

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