もう使えない 古い SEO 知識 2010

今回は検索エンジンの進化などを理由とした「すでに古い、使えない SEO」について解説したい。以下、未だに信じられているが、実は古い知識の SEO と、その説明を列挙していく。
■拡張子は「.cgi」や「.php」「.asp」ではなく「.html(.htm)」が良い
筆者の過去の経験から述べると、2000年時点で上記は「真実」だった。たとえば、.asp や .do といった拡張子は、Google にインデックスしてもらうことは困難だった。
同様に複数のパラメータを持つ動的 URL もインデックスが難しかった。当時はクローラ技術が今ほど優れているわけではないこともあり、結果として .html の静的なページが検索上位に表示されやすかった。
現在は、先日個人情報が Google にクロールされて大量流出した事件が示しているように、クローラの性能が格段に向上したため、拡張子によるランキングの差異はなくなっている。
■ ドメインは「www あり」の方がいい
「www あり」、「www なし」の議論は、結論はどちらでもいい。検索エンジンの視点で見ると、ページやサイトの関連性を判断するシグナルの1つとして、www のあり、なしは参考にならないためだ。
つまり、www なしのサイトよりも www ありのサイトが総じてコンテンツの質が高いのであればともかく、現実はそうなっていない。よって、ランキングにおける差はない。
ただし、サイトおよび SEO の運用において、www あり・なしのいずれか一方に統一して運用した方がよい。たとえば www ありで運用することを決定したのであれば、.htaccess などの設定で www なしでアクセスされたときに、www ありにリダイレクトするといった作業は推奨される。
これを行わないと、www ありと www なしのページそれぞれにリンクが張られてリンク価値が分散することにより、結果としていずれの(www あり・なし)ページもランキングが上昇しづらくなるといった問題が生じる。
■h1を入れるなら body 直下が一番いい
かつては HTML ソースコードの、より上部、body タグの直下に重要なキーワードを設置することが推奨された。昔の検索エンジンクローラはそこまで構文解析技術に優れているわけではなく、またシンプルなページ構成を好むことなどの要因も作用して、結果としてソースコード上部にキーワードが出現するページは上位に表示されやすい傾向があった。
しかし、今日はクローラのページ分析技術も進化したことにより、必ずしも h1 という見出しを示すタグ(要素)がソースコード最上部に設置されていなくても問題にはならない。ただし、数百行にわたり検索エンジンにとって全く無意味な JavaScript の記述や、複雑なナビゲーションに関するマークアップが続くことが、SEO 的に受け入れられるわけではないことに注意して欲しい。シンプルなことに、越したことはない。
■PageRank の高さは Google ランキングにおいて重要な要素
少なくとも、Google ツールバーに表示される PageRank のスコアは、全く持ってあてにならない。もし私たちが Google が検索システム内部で保有しているであろう、“PageRank”なるスコアを参照できるのであれば、その情報は有益かもしれない。しかしながら、現実には、「いまの」サイトの PageRank を知ることはできない以上、PageRank という情報を使って SEO をすることは意味がない。
これはすなわち、外部リンク構築手段として有料リンクを購入する際、その多くはツールバーの PageRank の値によって値がつけられているが、それも全く当てにならないことを意味する。きちんと、その購入先サイトのバックリンクなどを調査する必要があるということだ。(本稿では、有料リンク購入の是非については論じない)
■共用サーバーよりも、専用サーバーの方が SEO 的に良い
1998年~2000年の時点では、検索エンジンの見解はともかく、事実は「専用サーバー」あるいは、ユニークな IP アドレスが割り振られているサーバーが好まれた。これは当時、一部の共用サーバー(ネームベース)で運営されていたレンタルサーバーのあるサイトがスパムを行った時に、同サーバー上の他のサイトもまとめて検索エンジンから削除されたという事件に由来する。しかしながら、今日はそういったことはないようだ。
■動的 URL は、インデックスされない
かつては複数のパラメータを持つ動的 URL は、検索エンジンにインデックスされにくかった。これはスパイダートラップ(パラメータの値が少し異なるだけの同一コンテンツを、何千ページにもわたりクロールしてしまう事象)を避けるためなどの理由があった。
今日はクローリング技術が進化したことで、パラメータを分析して適切にインデックスできるようになってきたため、引数が論理的でシンプルなものであれば、多数のパラメータがついた動的 URL でもクロールされるようになった。
しかし、Google は確かにクローリング技術が向上したが、他の検索エンジンは必ずしもそうではないため、これからサイトを新規構築する、あるいはリニューアルなどを行う場合は、システム要件の1つとして URL の(擬似)静的化などの処理を行うことを推奨する。
■Yahoo!JAPAN 関連ワードの操作で、数多くのアクセスを獲得できる
Yahoo!JAPAN 検索結果の検索窓の下部、虫眼鏡のアイコンのところに表示される「関連ワード」。ここはクリック率が高いことと、外部からの操作あるいはスキーム構築によって、表示ワードをコントロールできることから「新たな Yahoo!JAPAN の SEO」として紹介されることもあった。
しかしながら、第1に、これは新しい・古い以前に単なる検索エンジンスパム行為である。大量に検索クエリを送信する、あるいは不特定多数の人間が同一クエリを送信できるような、検索インセンティブの付与による操作なので、検索エンジンに言わせれば不正利用の何者でもない。第2に、検索エンジン側も対策を施すようになったため、以前ほど簡単に操作できるわけではない。
■ ディレクトリ構成は、浅い方がいい
サイトのトップページから、何クリックで末端ページに到達できるかが重要であり、ディレクトリ構成の深さは、今日では関係がない。ただ、浅い、すなわち短い URL の方がソーシャルメディアなどで引用はしやすいので、「共有のされやすさ」という視点で URL を考えてみるのもいいだろう。
■日本語ドメインの方が断然、検索順位が上がりやすい
数年前に一時期、日本語ドメインを使ったサイトが軒並み検索上位に表示されることがあったが、当時はアルゴリズムの調整が不十分だったことに起因するものであり、今日はそれほど関係ない。ただし、URL またはドメインとページの関連性を判断する上での1つの要素として、キーワードの有無は判定対象にはなる。
とはいえ、ドメインについては SEO 要件よりも、ビジネス要件で決定する話である。ドメインは会社の顔として、名刺や広告、メールアドレスなど様々な場面・用途で利用されることがあるのだから、事業を行う上で総合的に判断するべき問題だ。
■有料審査型ディレクトリサイトは、どれも SEO に効果的
有料で審査型の登録サービスを提供しているからといって、どれも SEO 的に効果的というわけではない。
有料審査型ディレクトリは、サイト立ち上げ当初において、「確実に、良質なリンクを得られること」「サイト全体の信頼性を確立するためのリンク」であり、張ることで突然狙ったキーワードの順位が上がるわけではない。また、有料型であっても、当該サイトの価値が実は極めて低い場合もあり、審査料金をドブに捨てるようなケースもあるため、申込時には十分に検討すべきだ。
例外が Yahoo!JAPAN ビジネスエクスプレスであるが、最近は以前ほど順位が目に見えて上昇するわけではない(とはいえ、必須)。
■グループサイトへのリンクを、全ページのフッターリンクに並べておく
検索エンジンによる、コンテンツのパターン認識や重複扱いにより、たとえば1,000ページのフッターリンクに同じリンクを並べても効果はない。ページの内容にあわせて、関連のあるページへのリンクを掲載するようなシステムを組んだほうが懸命だ。
たとえば、家電を扱う通販サイトであれば、デジタルカメラのカテゴリには同カテゴリの他メーカーへのリンクを張る、不動産サイトであれば、豊島区のマンション一覧のページには東京23区内のほかのページへのリンクを張るといった具合だ。
(執筆:株式会社アイレップ 取締役 SEM 総合研究所 所長 渡辺隆広)

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