10月27日に迫った投開票日に向け、各党が必死の選挙運動に励んでいる。それぞれテレビCMも流しているが、中でも異質なのが公明党のWeb CMだ。公明党のイメージキャラクター「コメ助」と共に若者が踊り、♪君がカレーなら俺はコーメイ……などとラップ調で訴えている。何を訴えたいのかは不明だが。
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【写真をみる】「マジでなにやってんの…?」 しょうもなさすぎる「公明党」の“ラップ動画”
《【MCコメ助】公明党についてガチでラップしてみた「OH! KOMEI RAP」》と題されたこの動画、“♪控えめ言ってNo.1”だの“♪レペゼン公明党”だの根拠は不明だが、良い政党だと訴えたいらしい。
ラストには先月28日に就任したばかりの石井啓一新代表が登場。2016リオ五輪の閉会式にマリオの姿で登場した安倍晋三元首相の如く、「コメ助」の後ろから登場して右腕を振り上げる。もっとも、その笑顔は硬く、しかもワイシャツ姿で、安倍元首相のような振り切った演出はない。
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ところが、この動画の再生数が伸びているのが石井代表にはうれしかったようだ。彼のXにはこうある。
《公明党のウェブCMが/100万回再生を突破しました。/誠にありがとうございます。/ラップとダンスと公明党。/新しい組み合わせです。/ぜひご視聴ください。》(10月18日)
代表自身の投稿だから賛同する声は多いのだが、返信されたポストの中にはこんな声も。
《くだらん。本気で日本を救おうという志が全く感じられん。》
《こんなのやっても、若者の票を獲得できる訳がない。》
SNSにはもっと厳しい声も。
まじで鬱陶しい
《Webで流れる政党のCM、ロクなのがないけど特に酷いのが公明党だな。》
《なんか公明党のラップのCM見て絶対票入れちゃダメだなって改めて思った》
《TVer見てると公明党のCMがひたすら流れてきてまじで鬱陶しい…》
政治部記者は言う。
「石井代表は公明党のトップとして全国を遊説する立場ですが、衆議院議員としてはこれまで比例代表の単独立候補で当選を重ねてきました。今回、初めて小選挙区の埼玉14区から出馬します。13日には石破茂首相、15日は小池百合子・東京都知事が応援に駆けつけるなど、党代表とは思えぬほど自身の選挙で手一杯です」
石井代表といえば、幹事長だった昨年、「自公の信頼関係は地に落ちた」と発言して両党の選挙協力解消を訴えていたはずだが。
「今回の衆院選から適用される小選挙区の“10増10減”を巡っての発言でした。あくまでも東京都における選挙協力の解消を意味していましたが、10減10増の中には石井代表の選挙区である埼玉14区も含まれているのですから現金とも言えるし、それほど必死ということもあるのでしょう」
埼玉14区は石井代表と国民民主党の鈴木義弘 ・幹事長代理の一騎打ちと新聞各紙は報じている。
動画のせいで若者離れ
「どの社の予想も“接戦”とか、どちらかの“猛追”とあり、激戦になることは間違いないようです。万が一、党代表が落選となると、公明党としても衝撃は大きい」
埼玉のみならず支持母体の創価学会が言うところの“常勝関西”でも劣勢が囁かれる。
「特に大阪は、かつて創価学会の池田大作名誉会長が現地入りして陣頭指揮を執った、いわば“聖地”です。今回、公明党は大阪府の4選挙区で日本維新の会と全面対決となりました。しかし、公明党の国政選挙での比例区得票数は2005年の衆院選の898万票をピークに減少しており、22年の参院選では618万票まで減りました。しかも、争点のひとつとなっている自民党の裏金議員を公明党は推薦していますから風当たりも強いでしょう。昨年、死去した池田名誉会長の弔い選挙となるはずですが、選挙の顔となるべき石井代表が自分の選挙に一生懸命ですし……」
せめて自身が出演する動画でも見て……ということか。
「創価学会の信者は高齢化が進み、公明党はここ数年、若い世代を取り込もうと必死です。そのためにラップCMまで作ったのでしょう。しかし、今回の衆院選では自民党も議席を減らすでしょうが、公明も減らすとみられています。10月21日の朝日新聞では、30議席を割り込むと予測しています。ひょっとすると、《ガチでラップ》というわりには韻を踏んでいるわけでもないキテレツな動画により、公明党から若者は離れ、票を逃すことになるかもしれません」
デイリー新潮編集部