アイリス、コメ流通業参入 今月末新会社、精米工場も整備

アイリスオーヤマが東北産のコメ流通事業に本格参入することが23日、分かった。新会社を4月末に設立し、仙台市内で大規模な精米工場の整備に入る。従来の販売ルートを活用し、来年2月をめどに全国の大手スーパーやコンビニエンスストアで取り扱いを始める。3年後の売上高は100億円を見込む。
 政府が交渉参加を表明した環太平洋連携協定(TPP)で農産物の輸出入が増加するのを見据え、集荷、加工、販売を一元化することで国内農業の競争力強化につなげる。北陸や北海道産へも事業を拡大するほか、将来的には海外輸出も視野に入れる。
 新会社名は「舞台アグリイノベーション」で、本店は仙台市に置く。農業生産法人「舞台ファーム」(仙台市)とともに計50億円を投資する。コメの取扱量は年5000トンからスタートし、3年後に2万5000トンを目指す。初年度の売上高は16億円の見通し。
 計画では、東北の農家や農業生産法人、出荷組合と契約を結び、ササニシキやあきたこまち、ひとめぼれなど各品種を全量買い取る。一部大規模農家などには事業計画を提示しており、近く正式に募集を始める。
 精米工場は、東日本大震災の津波被害が大きかった仙台市東部への立地を計画する。建設には、国が制度化を予定する津波被災地向けの立地補助金の活用も検討する。来年2月に稼働させ、2013年産のコメから加工を始める。
 加工には日用品製造で培った自社技術を応用。1人暮らしや少人数世帯が買いやすいよう3合入りの小分けパックにして、4パック入り計1.8キロと10パック入り計4.5キロの2種類を用意する。低温精米で食味を保ち、脱酸素剤を入れて長期間保存を可能にする。

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