アジアで感染少ない理由 たんぱく質タイプの差が一因か

新型コロナウイルスによる感染者数や死亡者数がアジアの国々で欧州と比べて少ないのは、血圧の調整などにかかわるたんぱく質の遺伝子タイプが関係しているかもしれない。国立国際医療研究センター研究所などのチームがそんな研究をまとめ、遺伝子医学の専門誌で発表した。

 新型コロナによる人口あたりの感染者や死亡者は、台湾や韓国、中国や日本などで比較的少なく、ベルギーやスペイン、英国などで多いことが報告されている。マスクなどの衛生習慣や医療環境などの違いのほか、それぞれの地域に住む人たちの遺伝的な特徴も関係しているのではないかといわれている。

 チームは気道や心臓、腎臓などにある「ACE(エース)」と呼ばれるたんぱく質の遺伝子タイプとの関係に注目した。二つあるACEのうち、「ACE2」というたんぱく質は新型コロナが細胞に感染するのにかかわっているとされるからだ。

 すると、ACE2とのかかわりは特にみられなかったが、構造が似ていて血圧調整などに関係している「ACE1」というたんぱく質の遺伝子タイプと関連が見つかった。

 これまで計25カ国・地域について報告された論文などをもとに約1万5千人のデータで分析したところ、ACE1の遺伝子が「I/I(アイアイ)」というタイプの人の割合が欧州では少なく、アジアでは多い。割合が多くなるほど感染者数や死亡者数が少なくなる傾向が、統計学的に認められたという。

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