アジア太平洋が世界で最も"富"を保有する地域に–日本の富裕層は360万人

クレディ・スイスは22日、2012年度「グローバル・ウェルス・レポート」を発表した。同調査は、世界の富に関する包括的な調査分析レポートで、今回で第3版となる。
それによると、欧州債務危機および世界的な景気減速を背景に、世界の家計の富の総額は2011年央から2012年央の過去12カ月間で、12.3兆ドル(現行為替レート・ベースのドル建て)、前年比で5.2%減少し、約223兆ドル(約1京7,394兆円)となった。世界の家計の富の総額が減少したのは、2008年に起きたリーマン・ショックに端を発する世界金融危機以降初となるという。
地域別に見ると、アジア太平洋地域は前年比1.45兆ドル(1.9%)減少したものの、総額74兆ドルとなり、世界で最も富を保有する地域となった。欧州は同10.9兆ドル(13.6%)減の69兆ドルで、減少額は世界全体の減少額の88.6%に当たる。一方、米国は米ドルがほとんどの通貨に対して上昇したことから(対ユーロでは前年比14%上昇)、同1.3兆ドル(2.2%)増の62兆ドルとなった。
日本については、東日本大震災による景気へのマイナス影響にもかかわらず、家計資産総額は前年比1.3%増の28.1兆ドル(約2,190兆円)に拡大し、世界2位の座を堅持。これは、対ドル円高進行(前年比約2.5%上昇)が影響したと考えられる。
また、世界の富の増加への寄与度に関しては、1位米国、2位中国、3位日本となった。
成人1人当たりの富の平均額が最も大きい国はスイスで47万ドル。以下、2位は豪州の35万5,000ドル、3位はノルウェーの32万6,000ドルと続き、上位3カ国に関しては前回と変化は見られなかった。アジア太平洋地域においては、豪州がトップで、次いで日本の6万9,708ドル、シンガポールの25万8,117ドルとの順となった。
成人1人あたりの富の中央値を見ると、圧倒的なトップは豪州の19万4,000ドル。以下、スイスの8万7,137ドル、ノルウェーの7万9,376ドルと続いた。
個人の純資産額が5,000万ドルを上回る超富裕層(UHNW)は全世界で8万4,500人と推計。国別では、米国が世界全体の45%に相当する3万7,950人で最も多く、次いで中国が4,700人、ドイツが4,000人、日本が3,400人、英国が3,200人、スイスが3,050人となった。
日本における純資産額100万ドル以上の富裕層は前年比8万3,000人増の360万人となり、米国に続いて世界2位となったことが判明。2017年までの向こう5年間で見た場合、日本の富裕層人口は51%増え、540万人に拡大すると予想されている。また、1万ドル以上の富を保有する成人人口の割合は95%超、10万ドル以上の富の保有割合は62%と、世界の平均水準の約8倍という高い比率となっているという。

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