アップルに「アプリストア」開放義務づけへ、政府が新たな巨大IT規制…他社参入促す

政府は巨大IT企業が運営するサービスに新たな規制を導入する方針を固めた。スマートフォンのアプリ入手に使う「アプリストア」に関し、他社のサービスも使えるようアップルに義務づける。グーグルには検索結果表示で自社サービスを有利に扱うのを禁じる。新法による規制を検討し、早ければ来年の通常国会への法案提出を目指す。 【イメージ】 アップルのアプリストアの仕組み

 政府のデジタル市場競争本部の会議が6月中にも最終報告をまとめ、新規制の方向性を打ち出す方針。巨大ITに取引条件などの情報開示を義務づけた2021年施行の「デジタルプラットフォーム取引透明化法」に続く、巨大IT規制の第2弾となる。

 スマホを動かす基本ソフト(OS)はアップルとグーグルがシェア(市場占有率)をほぼ二分する。そこでビジネスを展開する企業は2社が課すルールに従わなければならない。

アイフォーンなどを販売するアップルストア(東京都千代田区丸の内で)

 アップルはiPhone(アイフォーン)で自社の「アップストア」以外のアプリストアを利用できないようにしている。競争が起きないため、アプリの開発・運営企業が支払う手数料が高額との批判が根強い。

 新たな規制では、アプリストアに他の企業が参入できるようにする。マイクロソフトなどの巨大ITや日本の通信大手の参入を見込む。競争を促し、企業が支払う手数料の引き下げを通じて消費者の負担軽減を目指す。

 またアップルやグーグルが自社の決済システムの利用をアプリ企業に強制し、ほかの決済システムの利用を制限していることも問題になっており、利用の強制を禁じる規制も導入する方針だ。

 グーグルについては、自社のOSを使うアンドロイド端末の設定で自社アプリを有利に扱ったり、検索結果で自社の「グーグルマップ」サービスを上位に表示したりする優遇措置が問題視されている。選択画面を表示するなど、別のサービスが選びやすいような規制を導入する方向だ。

 欧州連合(EU)では、巨大ITに自社サービスの利用強制を禁止するなど厳しい規制を課す「デジタル市場法」が制定され、同種の規制で先行している。日本政府はEUの規制の動向も踏まえ、今後、細部の設計を進める考えだ。

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