アップル特許侵害、3億円支払い命令 発明家、大企業に完勝

原告側「有能な人材いる」
 韓国の主要企業、サムスン電子も苦しい戦いを強いられている米アップルとの特許訴訟で、日本の個人発明家が“完勝”を収めた。アップル側に3億3千万円余りの損害賠償を命じた26日の東京地裁判決。原告側代理人は「知財立国を目指す日本に、有能な人材がいることを証明した」と声を弾ませた。
 アップルとサムスンは携帯端末で世界市場のシェア争いを続け、製品のデザインや技術をめぐり各国で訴訟合戦を展開。国内でも東京地裁で争われた3件の判決で勝敗が分かれるなど、グローバル企業同士の威信をかけた戦いが続いている。
 一方、原告側の上山浩弁護士によると、原告の男性は大手IT企業を早期退職し独立したが、経営企業には従業員もいない。それでも「技術者にはアイデアを生み出せる人とそうでない人がいる」とプライドをのぞかせ、すでに開発を済ませ特許出願を予定している発明も複数あるという。
 男性は平成10年、アップル側に今回の技術の「売り込み」を行ったが条件が折り合わず、交渉が決裂。その後、機能が搭載されたアイポッドの発売を知って提訴したという。 10年以上を経て発明の価値が認められた形になったが、男性は以前から「1審判決は『一里塚』にすぎない」と強調。「判決が確定した後で、賠償金をもとに研究や特許出願を進めていきたい」とさらに先を見据えているという。
 今後は双方が控訴し、知財高裁で審理が続けられる見通し。1審判決が認定した対象機種の売上高や、ライセンス料として支払われるべき割合についてはアップル側が企業秘密に抵触するとして閲覧制限を求めており、公開されていない。

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