アブラムシ 「積雪占い?」 卵産む高さと関連調査 仙台

積雪予想、アブラムシにもできる? 仙台市の「富沢遺跡保存館(地底の森ミュージアム)」(太白区)が、2万年前の植生を再現した屋外自然観察施設「氷河期の森」で、害虫のアブラムシを駆除せずに、その卵の位置と積雪の深さの関係を調べている。カマキリが積雪より高い位置に卵を産み付けるという俗説は有名だが、保存館職員によると、昨冬からの調査で、アブラムシにも同じ傾向がありそうだという。
 調べているのは、広葉樹ハンノキに産み付けられたオオアブラムシの卵。成虫は体長5ミリ程度で、卵は晩秋から初冬にかけて樹皮に産み付けられ、そのまま越冬する。春にふ化する幼虫は分泌物で葉を汚すなどし、木の生育を妨げることがある害虫とされる。
 卵は職員らがおととし11月中旬、推計で約3000個の塊を初めて発見した。森の生態系バランスを考慮し、同館は駆除を見合わせ、経過を見守っていた。今冬は昨年12月中旬、遊びに来た小学生が別のハンノキの幹で約1万個の卵の塊を見つけた。
 卵の位置は、昨冬が高さ1メートル10センチ前後、今冬は60センチ前後。「氷河期の森」の積雪は最も深いときで昨冬は25センチ(昨年3月10日ごろ)だったのに対し、今冬は今月9日と同15日の1センチ前後にとどまり、卵の高さと積雪の関係は今のところ、「カマキリの俗説」の通りになっているという。
 観察は、森の様子を約10年間、ほぼ毎日記録している同館学芸員長田麻里さん(36)が担当。カマキリのほか、いろんな虫の卵でも「産み付けられた位置の高低で、冬の積雪量が分かる」という俗説が各地にあると知ったのをきっかけに、積雪との関係を調べるようになった。
 長田さんは「木の生育に影響がないうちは駆除せずに、観察対象にしていきたい」と言う。来館者が減る冬期間の「呼び物」としても期待している。
 虫の生態に詳しい仙台市科学館の佐藤賢治学芸員は「卵と積雪量の関係を実際に計測、記録する活動はユニーク。カマキリの俗説も科学的には立証されていない。アブラムシについても、真偽を確かめるにはより長期間、より広範囲のデータが必要になる。関心を持って観察する人が増えてほしい」と話している。

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