インターネット小売大手の米アマゾン・ドット・コムは2日、日本向け総合ショッピングサイト「Amazon.co.jp」で買い物ができるアプリケーションソフトを、米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」や多機能情報端末「iPad(アイパッド)」向けに無償提供する、と発表した。
3日から利用可能。楽天やヤフーなど日本のネット通販各社と顧客争奪戦が激しさを増す中、アマゾンは今回のアプリ提供でいつでも買い物できる機会を増やし、日本での売り上げ拡大を図る。
今回、アマゾンが提供するソフトは、携帯電話のカメラで撮影した画像で商品検索できる「フォト検索」や、注文した商品の受け取りが可能なコンビニ店舗の検索機能などを盛り込んだ点が大きな特徴。パソコンや他の携帯電話での注文方法に比べ「より速く、より直感的に買い物が楽しめる」(古屋美佐子アマゾンジャパンシニア・プロダクト・マネージャー)としている。
今後、このアプリは米グーグルの基本ソフトを使うアンドロイド携帯でも使えるようにする。競合するアップル、グーグルの製品を使う利用者を、アマゾンの買い物客として取り込む狙いだ。
アマゾンは、欧米を中心に世界7カ国で展開する世界最大級のネット通販事業者で、2009年の売上高は約2兆円を超える。日本ではアマゾンジャパンが、00年11月から通販サイトを展開している。日本の売上高は非公表だが、書籍や家電、スポーツ、健康美容関連など21分野約2000万点の品ぞろえをしている。
一方、アイパッドの日本発売で電子書籍事業について注目が集まっているが、アマゾンの電子書籍「キンドル」についてアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は「電子書籍は品ぞろえが重要。いろいろな端末で読めることも大事」と語り、早ければ年内にも日本向けの電子書籍事業を本格展開する考えを示した。