アマゾン、仙台の配送拠点初公開 仕分けに特化、翌日発送可能に

 インターネット通販大手アマゾンジャパン(東京)は、仙台市太白区の配送拠点「仙台デリバリーステーション(DS)」を報道機関に初めて公開した。自社倉庫から届いた荷物を宛先ごとに仕分けし、配達ドライバーに引き渡す施設。扱う荷物量は年々増加しており、同社は将来的な設備の拡充も視野に入れている。

1日数万個扱う

 コンベヤーで運ばれてくる荷物、荷物、また荷物…。先頭の作業員が右手の読み取り機で宛先データをテンポ良く読み取り、次々印刷される仕分け用シールを左手で貼り付ける。下流側の作業員はシールの記号や数字を見ながら、整然と並ぶ配達袋に荷物を振り分けていく。

 仕分けは1日3回に分け、数万個の荷物を扱う。取材した午前11時ごろは昼過ぎの発送に向けた作業に約30人が当たっていた。アマゾンの広報担当者は「夜の方が荷物も作業員も増える。通販サイトの利用は土日が多いので、週明けも商品数が多くなる」と話した。

 仙台DSは2019年11月、東北初のDSとして整備された。延べ床面積8000平方メートル。仙台市など宮城県内17市町村と福島県内3市町が管轄地域で、ここへの荷物は全国約20カ所の自社倉庫から仙台DSにいったん集約された後、それぞれの宛先に発送される。

雇用を生み出す

 アマゾンの物流網は自社倉庫が品出しと荷造り、DSが宛先ごとの仕分けにそれぞれ特化し、大量の注文を素早くさばく。同社は「仙台DSの整備で管轄地域への翌日発送が可能になった」と説明する。

 アマゾンの配達業務を巡っては、神奈川県横須賀市を拠点に働く配達ドライバーが6月、労働組合を結成。長時間労働の是正や扱う荷物量の適正化を訴えるなど、労働環境の改善を求める動きが広がっている。

 同社の広報担当者はドライバーの働き方は2種類あるとした上で、「アマゾンと直接、業務委託契約する形態は勤務時間などの自由度は高い」と説明。横須賀の事例のような下請け企業と契約する形態でも「労働環境があまりに悪ければアマゾンから改善要求することもあり得る」と述べた。

 アマゾンジャパンの道上淳之介ディレクター(50)は「仙台DSで扱う荷物量は確実に増加している。今後も地元に中長期の雇用を生み出すとともに、自社拠点ならではの配送スピードなど満足できるサービスを提供していく」と語った。

 DSは弘前市、八戸市、盛岡市、秋田市にもある。

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