アートなトイレを海外へ フィルムで図柄自由

仙台市泉区の水道工事会社の泰光住建が、トイレの便器にフィルム加工で自由なデザインを施す独自技術「トイレットアート」を商品化し、海外展開を目指して いる。年内にも中東ドバイの現地企業と契約を結び、富裕層や高級ホテル向け販売に乗り出す。従業員8人の会社が、アイデアと職人技で海外市場に挑む。
「イデア・オブ・トイレット」の名称で展開する商品は、金色、紺色といった単色から、バラ柄、浮世絵、漫画、ご当地キャラを描いたものまで多様。なめらかな光沢に加え、ヘビ皮のような質感も出せる。
複雑な形状の便器に貼ってもデザインがゆがまないよう、複数のソフトで精密に計算してフィルムに印刷する。はがれにくい技術も売りだ。
水道工事と併せて内装やリフォームの受注に力を入れていた2010年に基本の技術を開発。デザインの種類を年々増やしてきた。赤間晃治社長(37)は「トイレに清潔さ、快適さ以外にも美しさや楽しさを加えたかった」と話す。
これまでに仙台空港アクセス鉄道の仙台空港駅や宮城県図書館のトイレで施工した実績がある。イベントなどの際に期間限定でトイレを飾る需要も見込む。
海外への輸出を視野に入れ、オイルマネーと観光で成長するドバイ市場に着目。14年、日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援事業に採択され、15年5月にあった現地の高級家具展示会に出展し注目を集めた。
ドバイの外資規制をクリアするために必要な合弁事業の相手として、同国の財閥企業グループと交渉中。年内に契約を結び、来年には現地法人を設立して生産に入りたい考えだ。
計測、設計、施工の受注生産で、ドバイでは契約価格を1台約2000ドル(約24万円)程度に設定する。国内は半額程度だ。赤間社長は「商品を通じて日本の衛生環境の良さも知ってもらえる。みんなに楽しんでもらえるものを仙台、宮城から発信したい」と話す。

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