イオン、パルコ株12%取得を発表 店舗一体運営狙う

 イオンは22日、専門店ビル大手、パルコの発行済み株式の12.3%を取得したと発表した。都心部での商業施設の共同運営や中国など海外展開での連携を目指す。今後、20%未満の範囲内で出資比率を高めて持ち分法適用会社にすることも検討する。パルコは昨年8月の日本政策投資銀行との資本業務提携を巡り、33.2%を出資する筆頭株主の森トラストと対立している。イオンとの連携を受け入れるかどうかが次の焦点となる。
 イオンは市場内取引や既存株主であるファンドとの相対取引でパルコ株を取得。8.3%を出資するクレディセゾンを抜き森トラストに次ぐ第2位の株主に浮上した。取得額は明らかにしていない。
 イオンはグループで「フォーラス」や「ビブレ」などパルコと似た形式の専門店ビルを都心部で運営。これらの店舗をパルコの店舗と一体運営することで競争力を高めることを狙う。また両社の経営ノウハウを持ち寄り、中国などの海外展開の加速にもつなげるとしている。
 今後、提携効果を高めるため、出資比率を引き上げ、パルコを持ち分法適用会社にする意思があるとも表明した。パルコは「当社として正式に確認している事実はない」とのコメントを発表したが、イオンとの協議は22日中に始まるもよう。
 パルコは2010年8月に政投銀と資本業務提携した。だが筆頭株主の森トラストが反発。同社の森章社長がパルコの経営陣に対し、5月の株主総会で解任動議を提出することも視野にあると表明している。
 イオンはこれに関連して森トラストや政投銀とは具体的な協議を行っておらず、「株式取得は、当社独自の判断に基づき実施する」としている。パルコがイオンの提案をどう判断するかが注目されることになる。
 パルコは昨年、政投銀を引受先に新株予約権付社債(転換社債=CB)を発行した。約150億円を調達し東京や大阪での出店、中国に進出する戦略を打ち出した。CBは今年9月から段階的に株式の転換が可能になり、すべて転換すると政投銀のパルコに対する出資比率は18.7%となる。
 パルコは東京都心部などに21店舗を展開しており、10年2月期の売上高は約2600億円。旧セゾングループの中核企業だったが、同グループの経営不振に伴って01年、森トラストが筆頭株主となった。

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