「まるでロフトみたい」(来店客の30歳代女性)──。3月19日にイトーヨーカ堂武蔵境店が衣替えし、西館の 1~2階に「セブンホームセンター」としてオープンした。ファッショナブルな生活用品がずらりと並ぶ店内は、従来の総合スーパー(GMS)の売り場とはガラリと雰囲気が変わり、さながら雑貨専門店のようだ。
都市型立地特性に合わせた品揃えで、「周辺に多い一人暮らしの20~30歳代が、(2駅隣の)吉祥寺に流れているのを取り戻したい」(金子透・ヨーカ堂ホームセンター部シニアマーチャンダイザー)という。
1ヵ月後の4月17日、同じような売り場がイオン津田沼ショッピングセンターの3階にも誕生した。「R.O.U」という生活雑貨専門店で、やはり、ファッショナブルな雑貨や健康美容用品、文房具など6万点が取り揃えられている。イオンの主要客である30歳代女性がターゲットだ。
GMSの雑貨売り場が相次ぎ専門店化している背景には、「GMSで雑貨部門の赤字が大きくなり足を引っ張っている」(安森健・イオン顧問)ことがある。
しかし、ベーシックな商品を大量陳列で販売してきたGMSには、ファッショナブルかつ個性的な商品を管理する専門店のノウハウがない。そこで、イオンはロフトの社長だった安森氏を昨年9月に招聘し、R.O.Uを開発してきた。「GMSとはまったく違う経営ノウハウを入れることで、採算性を上げられる。在庫を絞って商品回転率を上げることが大事」(安森氏)という。
本業のGMS事業の不振に苦しむ大手流通業は改革に躍起だ。イオンは、各カテゴリーを“専門店化”して、単独でショッピングセンターに出店することを目指しており、ほかにも自転車やペット用品、手芸品での専門店を開発している。ヨーカ堂も都市型ホームセンターを開業したのは今回が初めてだ。まずは雑貨専門店化を成功させられるかがGMS改革の試金石になりそうである。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)