イオンは2016年度以降、不振が続く全国画一型の総合スーパー(GMS)の改装を急ぐ。年50店ペースと見込まれており、地域の客が求める品ぞろえに合わせて売り場をつくり替える新しい業態の「イオンスタイル」を柱にしていく。
イオン傘下のイオンリテールは、全国に344店のGMSがある。売り場は、1階が食品、2階や3階が衣料や住まい関連などといった形が典型だ。しかし、衣料のユニクロや家具のニトリなど専門店におされ、2階以上の客足が減り苦戦が続いていた。
こうした店を、高級食材を扱ったり、子ども服を充実させたりと、地域の客層をみながら売り場に特性を持たせていく。商品の仕入れ権限も、本部が主導する 「中央集権型」から、店が決められる幅を広げた「分権型」に移し、コンビニエンスストアやドラッグストアとも差別化を図る。
「イオンスタイル」への業態転換は14年から進めており、すでに全国に25店ある。売上高は改装前より、平均で1割ほど増えているという。昨年12月に 改装オープンした東京都大田区の「イオンスタイル御嶽山(おんたけさん)駅前」では、都心へ洋服の買い物に出やすいことから衣料品売り場を大幅に減らし、 3フロアのうち1、2階を食品売り場にした。高価格帯のワインやビールを置き、生ハムやチーズも充実させた。
GMSは各社とも経営が厳しい。イトーヨーカ堂は最大40店を閉める方針で、9月にファミリーマートと統合するユニーグループ・ホールディングスも、不採算のGMSの閉鎖を検討している。(西尾邦明)