「台風の日はコロッケが売れる」という都市伝説のようなネット上のうわさが本当になった? 総合スーパー「イオン」などを展開するイオンリテールは、台風21号が日本列島に接近していた21日から、惣菜売り場で販売するコロッケの在庫を5割程度増やしたところ、通常より多く売れる結果となりました。
22日の衆院選投票日への影響も心配された台風21号。この台風の接近を受け、四国、本州で同社が展開するスーパー「イオン」「イオンスタイル」の約400店舗で、「トップバリュ ザクうまコロッケ」「同焼きうまコロッケ」などの在庫量を1.5倍に増強しました。店頭には「台風接近中」などと記したコロッケ販促のポップも掲出。ただ、実際に売れるかどうかの確信はなかったといい、サイトにリリースは掲載しませんでした。
しかし結果は、店舗によって多少の差はあるものの、コロッケはおおむね完売しました。同社広報担当は「本当に思いかけず売れました」と驚きのコメント。「うわさを前から知っていたお客さまのほか、今回ネット上で拡散した情報を見て新たに知った方もいたのではないかと思います」と推察します。
実は、9月15日に配信した記事「『台風でコロッケが売れる』は本当? コロッケより買っておくべきものは?」の取材で、流通各社に「台風コロッケ」の真偽を聞いた際、イオンリテールを含む各社がこれを否定していました。
なのになぜ、今回イオンリテールは「台風コロッケ」を拡販したのでしょうか。同社の広報担当は、9月の台風18号接近のときに複数のメディアから「台風コロッケ」に関する問い合わせがあったため、「もしかして」と思い、台風の通過後に同社商品部にあらためて確認したところ、コロッケが想定していた時間より早く完売した店舗が複数あったのが分かったといいます。
同社では、コロッケの売上が伸びたのは台風が原因となっている可能性も捨てきれないと考え、一度在庫を十分に準備してはどうかとの結論に至ったのです。「先月はきっぱり否定しましてすみませんでした。いつか指摘を受けるだろうと覚悟していました」。広報担当者は恐縮しきりでした。
先週末に大雨をもたらした台風22号接近の際も、コロッケ販売が好調だった店舗があるそうです。同社では今後の台風接近時には、店舗ごとにコロッケ需要の見通しを判断し、対応していく方針だといいます。
(取材・文:具志堅浩二)