イチゴ、夏場も栽培OK 栗原の企業と明大技術確立

宮城県栗原市の電気工事業藤電気は、明治大農学部の伊藤善一専任講師らと共同で、年間を通してイチゴを安定栽培する技術を確立した。白色発光ダイオード(LED)使用の植物工場をベースに種から育てる農業技術を応用した。輸入頼みだった夏場のスイーツ市場への供給が可能になるという。
 藤電気と伊藤講師が開発した従来の植物栽培設備を改良した。LEDの明るさを半分にして密度を5~6倍に上げ、生育のばらつきの解消に成功した。
 栽培技術は伊藤講師が5年前に開発したノウハウを応用。硬い種皮を硫酸で溶かし、発芽させる特殊技術を取り入れた。苗から育てる従来の栽培が抱えていた、親株から病害虫が移るリスクをクリアした。植物工場では空調を制御することで夏場の栽培を可能にした。
 ことし1月下旬、川崎市の明大農学部でイチゴの種1500個をまき、苗約400株を栗原市の白色LED使用の栽培装置で育成した結果、7月25日ごろから大粒の実が1日計1.5~2.0キロ取れたという。
 伊藤講師は「春の終わりから冬場にかけ、イチゴの供給は90%を輸入に頼る。農薬を使わない安全、安心なイチゴが国内で作れる」と期待する。イチゴ生産が盛んな栗原市栗駒地区のブランド力向上も期待される。
 栗原市内では福島第1原発事故による風評被害などでキノコ生産をやめた業者が多い。藤電気の伊藤紀明社長は「キノコ栽培の遊休施設を活用できる。農家にイチゴ栽培という活動の場を提供したい」と話した。
 共同開発には、農業栽培コンサルタントのストロベリーラボラトリー(東京)も参加。栽培の遠隔監視装置技術と営業を担当する。今回の技術を活用し、年内に1000個を収穫するイチゴ工場を兵庫県に建設する計画で、2014年度以降、本格生産を始める予定。

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