イチゴの魅力で首都圏の心つかめ 亘理町復興プロジェクト

 宮城県亘理町は、東日本大震災からの復興に向けて町内の特産品や観光資源を広くPRする「復興・活性化プロジェクト」を近く、始動させる。第1弾として、東北一の生産量を誇るイチゴを首都圏に売り込む手法を検討し、大市場でのシェア拡大を目指していく。
 プロジェクトは、学識経験者や市場関係者、町観光協会員ら約10人でつくる検討委員会で企画立案する。今月下旬にも初会合を開く予定で、事務局を務める町企画財政課は「復興に向け、地元の魅力を外部に発信していく仕組みづくりをしたい」と狙いを説明する。
 最初に手掛けるイチゴについては、仙台や北海道を柱としていた出荷先の拡大を検討。ことし3月11日には、震災前の出荷割合が5~10%程度だった首都圏でPR活動を行う構想もある。新たに開設するウェブサイトで、インターネット通販などにも取り組む。
 町はプロジェクトの事業費として、2012年度一般会計補正予算に824万円を計上した。
 同町のイチゴ農家は震災の津波で9割以上が被災。町は国の復興交付金を活用して町内3カ所に計61.2ヘクタールのいちご団地を造成中で、今夏にも完成する。
 大型ハウスの導入で、震災前の07~10年に平均3598トンだった町全体の年間出荷量を、団地完成後は3850トン程度まで引き上げたいという。
 復興の進展による生産の拡大で、産地間競争がさらに激化することが予想される。
 企画財政課は「国内有数の規模となる団地の整備に合わせ、収穫したイチゴに付加価値を付けて販売する計画を並行して考えていきたい」と意気込んでいる。

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