東日本大震災後に宮城県山元町で設立した町特産のイチゴを栽培する二つの農業生産法人が、今季のイチゴ狩りのスタートを大幅に前倒しする。山元いちご農 園は11日から、GRAは来年1月2日からで、それぞれ1~2カ月ほど早めた。年末年始の行楽客にも楽しんでもらう趣向。誘客増につなげ、被災地の観光復 興の起爆剤にしたい考えだ。
山元いちご農園は、昨季も開始を1月2日と約1カ月前倒しした。今季は6月まで無休で営業する予定。10棟で計2.17ヘクタールの栽培ハウスの区域を分けて順番に開放することで、切れ目ない収穫体験を可能にした。併設するカフェでイチゴのスイーツなども味わえる。
これまでは、クリスマスの最需要期と重なる時期のイチゴ狩りは避けてきたが、岩佐隆社長は「多くの方にできるだけ早く食べてほしかった。クリスマスに向けたPRも行いやすい」と意図を語る。
GRAも昨季の3月下旬開始から大幅に早め、初詣に掛けた「初狩り」の名称でPRする。開放するハウス面積も100アールと2倍以上に広げる。ICT(情 報通信技術)を活用し、温度や日照時間などを自動制御できる最先端の大型栽培ハウスを見学しながら収穫を楽しめるのが特徴だ。
岩佐大輝代表は「初狩りを新たな食文化として提案したい。取り組みが町全体に広がれば、さらに誘客が図れるはずだ」と話す。開放は5月までだが、3月20日までは土、日、祝日のみの営業となる。
料金は法人によって異なる。連絡先は山元いちご農園0223(37)4356、GRA0223(37)9634。