東北6県と新潟県の官民などが出資する第三セクターのインテリジェント・コスモス研究機構(仙台市、ICR)が2020年3月末での解散を決めたことが28日、分かった。産学官が東北の発展を目指して提唱した「東北インテリジェント・コスモス構想」の推進会社として起業支援などを進めてきたが、役目を終えたと判断した。累積赤字は約32億円あり、解散時に資本金約85億円で清算して出資者に返還する。
ICRは1989年、宮城県や仙台市、東北電力など214社・団体が出資して設立。研究開発会社14社の設立や起業支援など新ビジネスの創出を担った。
7県知事らでつくる東北インテリジェント・コスモス構想推進協議会が2006年に解散した後、国の産学連携事業や復興事業を受託してきたが、収入は年々減少。低金利で資本金の利息収入も減少して経営環境が厳しくなり、今年1月に解散方針を決めた。
ICRによると、累積赤字は3月末時点で31億6200万円。研究開発会社やベンチャーファンドに約16億円投資したものの、回収は約2億円にとどまった。利息収入減による経常損失も約10億円に達した。
資本金の返還は、累積赤字などを差し引いた40億円程度を見込む。仙台市青葉区の本社敷地の賃貸スペースに入居するベンチャーなど14社・団体は、活動が続けられるよう検討する。
ICRの担当者は「大学や行政の創業支援が充実し、設立当時の使命は全うしたと判断した。解散までは人員削減などで資本金の保全に努める」と話した。