例年、ハロウィン本番の10月31日は、思い思いの仮装をした若者が渋谷に集まり現場は大混乱に。そこで、今年は渋谷区で「ハロウィン路上飲酒規制条例」が施行されたものの、逮捕者が出るなど一部で混乱が見られた。そんな“ウェイ系”の「派手ハロウィン(派手ハロ)」へのアンチテーゼなのか、日常的な衣装を着て”地味さ”を競い合う「地味ハロウィン(地味ハロ)」が近年注目を集めている。
2014年に渋谷で初開催された『地味ハロ』は、参加者のシュールな仮装がTwitterなどで反響を呼び、16年以降は300人が参加。そして18年にはのべ800人の来場者を集めるイベントに成長したのだ。同イベントの仕掛け人であるデイリーポータルZ編集長の林雄司氏は「5年前に仲間内で始めました。ハロウィンって、仮装という割にはパターンが決まっているので、パターン化されていない仮装があれば面白いと思ったからです」と、当時を振り返った。
そして、このムーブメントは地方にも拡散。本家・渋谷とは一味違ったマニアックなイベントが各地で行われている。実際、今年は全国10ヵ所以上で開催され、各地で好評を博したという。地方で行われた『地味ハロ』の様子を林氏に聞くと、「“地域特有のあるある”があり、面白さを完全に理解することはできませんでした」と笑った。鹿児島では『離島から帰ってきた先生』という仮装がウケ、岐阜の会場が湧いたのは『地方の役場の人が着ているポロシャツ姿の職員』の仮装だったそう。とはいえ、渋谷に代表される画一化した定番仮装ではなく、「パターン化されていない仮装を」という林氏の想いは、着実に地方に浸透しつつあるようだ。