5月下旬から新聞やテレビで「エアコンが品薄」という報道が増えた。折からの半導体不足に加え、中国・上海市のロックダウンの影響を受けているという。どのような状況なのか、エアコンメーカーに聞いた。
国内エアコンメーカーのうち上海ロックダウンの影響を受けたのはシャープ、ダイキン工業、富士通ゼネラルなど。現地に工場や部材の取引先がある。
シャープによると「4月上旬から5月上旬までの1カ月ほど上海の工場が停止した。しかし再開から1カ月が経ち、調整も進んでいる。販売店や商品によって在庫状況は異なるため一概にいえないが、具体的に出荷停止や欠品を案内している商品はない」という。
同じく上海に工場があるダイキン工業は「影響がないとはいえないが、物流の改善やサプライヤー(部品調達先)との調整など、打てる手は全て打ってきた」としている。シャープ同様、出荷遅延などを告知した商品はない。
富士通ゼネラルは6月10日付で「一部製品で生産遅延が発生している」とWebサイトで告知した。エアコンを含む一部製品において生産の遅延が発生しているものの、出荷を停止している機種はないという。「上海工場はロックダウン中の5月中旬より一部生産を再開し、6月中のフル生産再開を目指している」。
影響を受けなかったメーカーもある。パナソニックは「とくに品薄になっている商品はない。例年通りの出荷台数を目指す」としている。三菱電機は炊飯器の新製品が1つ発売延期になったものの「エアコンに影響はない」と話した。
ただ同時に「他社製品の都合がつかず、注文が流れてくる例はあった」(三菱電機)という。一部に供給が間に合っていない製品があること、そして6月時点では他社製品で代替できていることが伺える。少なくとも21年にベトナムのロックダウンの影響を受け、業界全体で品不足に陥った給湯器のような状況にはなっていない。
メーカー各社に今後の見通しを聞くと「頑張っているが、正直分からない」という主旨の回答が多かった。コロナ禍の影響、ウクライナ情勢、天候など不確定な要素が多く、何かのきっかけで急に需要が増えたり、供給が減ったりする可能性もあるためだ。今年は予断を許さない夏になりそうだ。
【追記:2022年6月15日10時23分更新 ※富士通ゼネラルの状況を追記しました】