雨が続くこの時期。いつのまにか、室内や靴、食品にカビが生えてしまったなんて読者も多いことだろう。
「たかがカビと侮ってはいけません。カビで命を落とす危険もありますよ」
というのは医療ジャーナリスト。
「猛毒で有名なのがアフラトキシンというカビ毒。ダイオキシンの10倍以上の発がん性を持っており、摂取すると肝硬変や急性肝炎、肝臓がんにつながります」
ただ、主に輸入食品から検出されるため、基準値を超えた危険な食品が国内で出回ることはないという。
「毒性は低いといえど、カビが生えた食材を食べるのも危険です。変色した部分だけを除去しても、目に見えない菌糸は全体に行きわたっている可能性が高いんです。日常的に摂取し続ければ、がんの原因にもなります」(前同)
さらに、梅雨時にやりがちな洗濯物の部屋干しにも要注意だ。
「雨が降り込むからと窓を閉めきって部屋干しすると、湿度が最大3倍になるといわれています。こうした環境では、室内や衣類に付着しているカビがさらに増殖して、アレルギーや喘息を招く可能性が高まります」(同)
また、身近なカビによる病気について、千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志教授はこう警告する。
「日常生活で注意すべきカビはまず、排水溝などに潜むエクソフィアラです」
風呂場でよく見る、黒いヌメヌメの正体である。
「皮膚から感染し、炎症を起こします。さらに皮膚深部まで侵食されると、血管に流入し、臓器までカビがまわります」(前同)
しかも、脳にまわりやすい性質があるという。
「脳に到達すると、頭痛やめまいを引き起こし、重篤な場合、1週間ほどで死亡することもあります。さらに、一見カビとは無関係に見えるエアコンにも注意が必要です。ホコリの中にはアスペルギルスというカビが潜んでいます」
クーラーの風とともに、部屋中に危険なカビが漂ってしまうというわけだ。
「これを吸い込むと肺に感染し、肺炎になります。最悪の場合、呼吸不全に陥り、命にかかわることもあります。さらに、肺から体中にまわり、他の臓器や脳ま で冒されるおそれもあります。厚労省の調査では、アスペルギルスによって年間約300人の死亡者が国内で確認されています」
くれぐれも注意したい。