「エアーズ・ロック」の通称で知られるオーストラリアのウルルで、2019年10月26日から観光客向けの登山が禁止されることになった。先住民族にとって聖地であることが、登山禁止の理由だという。11月1日、同地を管理するウルル・カタ・ジュタ国立公園が発表した。
Phil Noble / Reuters
ウルルは比高335メートル、周囲10キロメートルで、単一の岩としては世界最大級だ。国立公園は世界遺産に登録されている。1985年にアボリジニ(先住民族)の組織からオーストラリア政府に貸し出されていた。
しかし、アナングと呼ばれるアボリジニにとっては、ウルルは先住民の文化や精神が息づく聖地とされている。このため、アナングらはこれまでも観光客に対し、ウルル登山の禁止を呼びかけていた。
今回の登山の禁止は、アボリジニや政府関係者でつくる協議会の理事会の投票で、満場一致で決定された。協議会会長で先住民のサミー・ウィルソン氏は投票前の演説で、アナングたちは長年に渡り、ウルルへの登山を認めろと言われているような脅迫感を感じていたと述べた。「まるで頭に銃を突きつけられているかのようだった」とウィルソン氏は話した。
さらにウィルソン氏は発表で、「もし私が海外に旅行し、神聖な場所だとの理由からアクセス制限が求められるならば、私はそれを尊重し、そこに入りません」などとコメントした。
なお、登山が禁止になる2018年10月26日は、ウルルがアボリジニの手に戻ってから34年目となる記念日だ。エアーズ・ロックの名はオーストラリアがイギリスの植民地時代だったときに総督を務めたヘンリー=エアーズにちなんでつけられた名称で、アボリジニにとってはウルルが正式名称である。